一条工務店で家を建てるとき、LANケーブルを標準のCAT5eにするか、オプションのCAT6Aにするか迷う方は多いと思います。
我が家では、将来も交換しにくい重要な配線をCAT6Aにしました。
標準のCAT5eにするか、オプションのCAT6Aにするか、これについて先に結論を書くと、普段のネット利用ならCAT5eでも十分です。
ただし、情報ボックスから各階のWi-Fiアクセスポイント、書斎、NAS、テレビ・ゲーム機周辺など、長く使う重要な経路はCAT6Aにしておく価値があります。
CAT6Aに変えただけで、インターネットが10Gbpsになるわけではありません。この記事では、CAT5eとの違い、CAT6Aにする場所、費用、空配管、10Gbps化に必要な機器まで整理します。
結論:全部CAT6Aにしなくても、重要な配線はCAT6Aがおすすめ
| 使い方・設置場所 | おすすめ |
|---|---|
| Web、動画、オンライン会議が中心 | CAT5eでも十分 |
| 情報ボックスから各階のWi-Fi機器 | CAT6Aを優先 |
| NAS、大容量ファイル、動画編集 | CAT6Aを優先 |
| テレビ、ゲーム機、書斎 | 予算が許せばCAT6A |
| 用途が決まっていない場所 | CAT5eまたは施工条件を確認した空配管 |
| 将来10Gbps回線を使いたい | 壁内配線と情報コンセントをCAT6Aにする |
CAT5eは、今すぐ使えなくなる古いケーブルではありません。1Gbpsの宅内LANには十分で、対応機器と配線状態によっては2.5Gbpsや5Gbpsも利用できます。
一方、壁内のLANケーブルは後から簡単に交換できません。今の通信量だけでなく、20年、30年と家を長く使う間の交換しにくさまで考えると、重要な場所だけCAT6Aにする方法が、費用と将来性のバランスを取りやすいです。
CAT5e・CAT6・CAT6Aの違い
| カテゴリ | 周波数帯域 | 代表的な通信速度と距離 | 新築住宅での考え方 |
|---|---|---|---|
| CAT5e | 100MHz | 1Gbpsは100m。条件次第で2.5/5Gbps | 一般的な利用には現在も十分 |
| CAT6 | 250MHz | 1Gbpsは100m。10Gbpsは条件付きで最大55m | CAT5eとCAT6Aの中間 |
| CAT6A | 500MHz | 10Gbpsを100mまで想定 | 10Gと将来性を重視する壁内配線向け |
IEEE 802.3bz関連資料とEthernet Allianceの資料では、CAT5e・CAT6を利用した2.5GBASE-T/5GBASE-Tと、CAT6・CAT6Aを利用する10GBASE-Tの条件が整理されています。
また、CAT6Aだから必ずSTPというわけではなく、規格上はUTP製品もあります。ただし、この記事で紹介している因幡電工アバニアクトの現行CAT6A製品は、STPケーブルと金属シールド部材を組み合わせる構成です。
詳しい規格の選び方は、LANケーブルのカテゴリーの違いと選び方でも解説しています。
4K動画やオンラインゲームだけなら10Gbpsは必須ではない
CAT6Aは通信速度の上限を高くできますが、4K動画を見るだけで10Gbpsが必要になるわけではありません。Netflixが示す4K UHDの推奨速度は15Mbpsです。これは十分CAT5で対応可能です。
オンラインゲームも、CAT6Aへ変えただけで応答速度が必ず改善するわけではありません。ゲームでは、回線混雑、ルーター、接続先サーバー、無線の干渉なども遅延に影響します。
CAT6Aのメリットが出やすいのは、次のような使い方です。
- NASとの間で大きなファイルを頻繁に転送する
- 2.5Gbps、5Gbps、10Gbps対応のインターネットや宅内LANを使う
- 複数台が同時に大容量通信する
- マルチギガ対応Wi-Fiアクセスポイントを有線で接続する
- 交換しにくい壁内配線を将来に備えたい
我が家ではSynologyのNASも利用しています。NASを検討している方は、Synology DiskStation DS720+のレビューも参考にしてください。
CAT6Aにしても、機器が1Gbpsなら通信は1Gbpsまで
10Gbpsの宅内LANを使うには、LANケーブルだけでなく、通信経路全体を対応させる必要があります。
- 10Gbps対応の光回線とONU
- 10Gbps対応のWAN・LANポートを持つルーター
- 10Gbps対応のスイッチングハブ
- CAT6Aの壁内ケーブル、情報コンセント、短いパッチケーブル
- 10Gbps対応のパソコンやNASのLANポート
- 速度に見合うストレージ性能
どこか一つに1Gbpsのポートが入れば、その経路ではそこが上限になります。また、インターネット回線の「10Gbps」は技術規格上の最大値であり、常に実効10Gbpsが出る保証ではありません。
我が家で紹介しているTP-Link Deco XE75は、各ユニットの有線ポートがギガビット×3です。TL-SG116も16ポートすべてが最大1Gbpsです。
そのため、我が家の壁内CAT6Aは将来の機器更新に備えた配線で、現在の有線リンク自体は1Gbpsです。ここはCAT6Aを採用する目的を考えるうえで大切なポイントです。
2026年現在は、Wi-Fi 7や2.5Gbps以上の有線ポートを備えた家庭向け機器も増えています。ただし、無線ルーターの「最大○Gbps」は、複数帯域を合計した理論値であることが多く、端末1台の実効速度や有線10Gbpsと同じではありません。
一条工務店では各階への有線LANを検討したい
一条工務店の家は、階をまたぐWi-Fiが弱くなりやすい、という点に注意しておく必要があります。
そのため、各階のWi-Fi機器を有線LANでつなぐと家中のWifiが安定します。

一条工務店の床暖房施工中。いわゆる「銀世界」です。
もちろん、床、壁、家具、間取り、Wi-Fi機器の位置によって電波状況は変わるため、すべての一条工務店の家で各階にアクセスポイントが必須とは限りません。ただ、床暖房パネルなどを含む建物の構成や設置位置によって、階をまたぐ電波が弱くなると考えておいた方が安心です。
無線中継よりも、有線LANを使ったイーサネットバックホールの方が安定した通信を作りやすいです。情報ボックスから各階のWi-Fi設置候補まで、LAN配線と電源コンセントをセットで計画しておくことをおすすめします。
CAT6Aを優先したい場所
我が家なら、次の順番でCAT6Aを優先します。
- 情報ボックスから各階のWi-Fiアクセスポイント
- 書斎、パソコン、NASを置く場所
- テレビ、ゲーム機、レコーダー周辺
- 防犯カメラの録画装置やPoE機器を置く場所
- 将来用途が増えそうな部屋
すべてのLANコンセントをCAT6Aにする予算がなくても、情報ボックスから各階への幹線だけCAT6Aにしておくと、将来のWi-Fi機器更新に対応しやすくなります。
一条工務店のCAT6Aオプション価格
我が家の契約当時、CAT6Aへの変更は1か所8,900円(税別)、税込換算で9,790円でした。2025~2026年に公開された複数の施主見積例でも、同じ金額が報告されています。
情報コンセント関連の金額は、次のとおりです。
| 項目 | 契約当時の税別額 | 税込換算 |
|---|---|---|
| 情報コンセントJC | 13,000円 | 14,300円 |
| 情報コンセントJCT | 11,000円 | 12,100円 |
| 情報コンセントJCL | 7,500円 | 8,250円 |
| CAT6Aへの変更・1か所 | 8,900円 | 9,790円 |
※この価格表は筆者契約時の記録であり、現行価格を保証するものではありません。当時は情報ボックスと情報コンセント2か所が標準扱いとなる商品がありましたが、現在の標準数と対象商品は見積もりで確認してください。
JC・JCT・JCLの違い
一条工務店の情報コンセントには、JC・JCT・JCLの3種類がありました。
- JC:LAN、TV、電話線の組み合わせ
- JCT:LAN、TV、電源コンセントの組み合わせ
- JCL:LAN、電源コンセントの組み合わせ
情報コンセントと情報ボックスには、因幡電工の情報配線システム「アバニアクト」が使われていました。現在の採用品と組み合わせは、設計時に確認してください。
情報ボックスは、LANケーブルのカテゴリだけでなく、次も確認しておくと安心です。
- ONU、ルーター、スイッチ、NASを置ける広さ
- 電源コンセントの口数
- 発熱する機器を入れたときの放熱
- 必要なLANポート数
- 将来大きい機器へ交換できるか
- 各部屋と配線番号を照合できる表示
CAT6A正式オプション化当時の施主投稿
2021年には、CAT6Aへの変更が正式オプションになったことを紹介する施主投稿もありました。現在の価格や適用条件ではなく、当時の記録として掲載しています。
過去にCAT6Aへ変更した方の費用例
CAT6A配線5本に変更した過去の個人例も紹介していました。
- CAT6A配線5本:22,000円
- LANジャック変更:7,600円
- 電気配線工事・テスト:36,000円
直配線のCAT6Aと空配管はどちらがいい?
| 方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| CAT6Aを直接配線 | 入居時から10G対応の壁内配線を使える | ケーブルが固定されると将来交換しにくい |
| CAT5e+空配管 | 将来ケーブルを選び直せる可能性がある | 太いケーブルを実際に通せるかは施工条件次第 |
| 重要箇所はCAT6A、未定箇所は空配管 | 費用と柔軟性を両立しやすい | 配線計画が少し複雑になる |
| CAT6A+予備の空配管 | 現在の性能と将来の交換性を両立 | 採用可否と費用の確認が必要 |
元記事の契約時、LAN配線と空配管の組み合わせは15,700円(税別)という見積例でした。これは現在価格ではなく、地域や施工条件でも変わるため、最新見積もりで確認してください。
元記事の契約時に確認したLAN配線の価格例です。現在価格ではありません。
元記事の契約時に確認した空配管の価格例です。現在価格ではありません。
空配管を入れれば、必ず後から簡単にCAT6Aへ交換できるとは限りません。CAT6Aは太く硬い製品もあり、配管の内径、距離、曲がりの数、既存ケーブルの有無によって通線の難しさが変わります。
空配管を選ぶ場合は、設計担当者や電気工事担当者へ次を確認してください。
- 配管の呼び径と実際の内径
- 配管の長さと曲がりの数
- 呼び線を入れてもらえるか
- 両端の出口位置
- 将来CAT6Aを通す想定で施工できるか
- 配管端部や貫通部の気密処理
元記事にあった「空配管を通すと断熱性能が落ちる」という断定は、確認できる根拠がないため削除しました。配管の有無だけで一般化せず、必要であれば一条工務店に貫通部の気密・断熱処理を確認するのが確実です。
我が家のLAN活用例
メッシュWi-Fi
我が家では、Wi-Fi機器同士を有線LANでつなぐイーサネットバックホールを使っています。設定は、スマホアプリの案内に沿って機器の電源を入れ、LANケーブルを接続して進められました。
スイッチングハブ
情報ボックスへ集まる各部屋のLANケーブルを接続するには、スイッチングハブが必要です。我が家では16ポートのTL-SG116を使っています。
施主支給の防犯カメラ
我が家では、LAN配線を利用して4K防犯カメラも設置しています。PoE対応機器なら、対応するLANケーブル1本で通信と給電をまとめられるため、防犯カメラの配線も計画しやすくなります。
よくある質問
CAT5eでは将来使えなくなりますか?
すぐに使えなくなるわけではありません。1Gbpsなら現在も十分実用的で、対応機器と配線品質によっては2.5Gbpsや5Gbpsも利用できます。10Gbpsを壁内配線として確実に計画したい場合に、CAT6Aが有利です。
CAT6Aへ変えればネット回線も10Gbpsになりますか?
なりません。回線、ONU、ルーター、スイッチ、情報コンセント、パッチケーブル、端末のLANポートまで、通信経路全体が対応している必要があります。
CAT7やCAT8を選んだ方がいいですか?
一般的な住宅で10GBASE-Tを100mまで利用する目的なら、CAT6Aで対応できます。数字が大きいケーブルを選ぶより、壁内ケーブル、ジャック、施工、機器を同じ目的に合わせる方が大切です。
CAT6Aはオンラインゲームの遅延を減らしますか?
既存のCAT5e接続が正常で混雑していない場合、ケーブルだけCAT6Aにしても遅延が大きく改善するとは限りません。無線から有線接続へ変えることや、回線・ルーターの混雑を避けることの方が効く場合があります。
空配管なら後から必ずLANケーブルを交換できますか?
必ず交換できるとは限りません。配管の内径、長さ、曲がり数、既存ケーブル、呼び線の有無で難易度が変わります。将来CAT6Aを通す前提で、設計時に施工条件を確認してください。
まとめ
一条工務店の新築でLAN配線を決めるなら、普段使いにはCAT5eでも十分です。ただし、壁内配線は後から交換しにくいため、情報ボックスから各階のWi-Fi機器、書斎、NAS、テレビ周辺など、長く使う重要な経路はCAT6Aにしておくと安心です。
我が家で使っているDeco XE75とTL-SG116は現在1Gbps対応なので、壁内CAT6Aの性能をまだ使い切ってはいません。それでも、将来マルチギガ対応機器へ交換するときに壁を開けずに済む可能性が高い点が、CAT6Aを選んだ一番のメリットです。
最後に、見積もりでは次の4点を確認してください。
- CAT5eとCAT6Aの1か所あたり差額
- CAT6Aの対象区間と情報コンセント部材
- 情報ボックスの大きさ、電源、放熱、ポート数
- 空配管の内径、曲がり、呼び線、将来通すケーブル
契約時期や地域によって仕様は変わる可能性があるため、この記事の価格だけで決めず、最新の見積書で確認することをおすすめします。








