一条工務店で家を建てるとき、意外と大きな追加費用になる可能性があるのがベタ基礎や地盤改良・地盤補強です。
地盤調査の結果によっては、ベタ基礎だけでなく、ソイルセメントによる柱状改良、小口径鋼管、既製コンクリートパイルなどの地盤補強が必要になることがあります。
我が家が一条工務店で家づくりをしたときにも地盤改良について説明を受けました。
当時から特に気になっていたのが、
- 他のハウスメーカーでは地盤改良不要なのに、一条工務店では必要になることがあるのはなぜ?
- ベタ基礎にしたのに、なぜさらに杭が必要なの?
- 100万円以上かけて杭を入れて、将来家を壊すときにはさらに撤去費用がかかるの?
という点です。
そこで、一条工務店の現在の公式情報だけでなく、国土交通省などの基準や一般的な住宅地盤の考え方まで改めて調べ直しました。
結論からいうと、一条工務店は独自の地盤判定基準を設けているため、他社とは地盤補強の判定が違うことがあります。
ただし、「一条だけ杭が必要=過剰工事」とは限りません。
また、地中に施工した杭や改良体についても、家を解体したら必ずすべて撤去しなければならない、と単純に決まっているわけではありません。
一条工務店の基礎と地盤改良は別のもの
まず知っておきたいのが、
「布基礎・ベタ基礎」と「地盤改良・地盤補強」は別のもの
ということです。
布基礎やベタ基礎は、建物の荷重を地盤へ伝えるための「基礎」です。
一方、その基礎の下にある地盤が建物を十分に支えられない場合に行うのが地盤補強です。
一般的には地盤条件などに応じて、
- 布基礎
- ベタ基礎
などで建物を支え、それだけでは有害な沈下などを防げない場合に、
- 表層改良
- 柱状改良(ソイルセメント)
- 小口径鋼管
- 既製コンクリートパイル
などの地盤補強を検討します。
つまり、
「ベタ基礎にすれば地盤改良はいらない」わけではありません。
反対に、「地盤改良をする家は法律上必ずベタ基礎」というわけでもありません。
基礎とその下の地盤をセットで考えて設計します。
一条工務店では地盤調査から基礎・地盤補強を決める
一条工務店では全建築現場で地盤調査を行い、地盤判定には独自の厳密な自社基準を採用していると説明しています。
SWS(スクリューウエイト貫入試験)の測定値だけでなく、敷地内の地盤の硬さの偏り、周辺状況、土地の履歴なども含めて判断します。
現在の一条工務店公式サイトでは、基礎・地盤補強として、
- 布基礎
- ベタ基礎
- ソイルセメント
- 既製コンクリートパイル
- 小口径鋼管
などが紹介されています。
以前この記事では「一条工務店の地盤改良はソイルセメントと鋼管杭の2種類」と紹介していましたが、現在はこの説明だけでは不十分です。
地域や地盤条件などによっては、既製コンクリートパイルなどが使われるケースもあります。
参考:一条工務店公式|地盤調査
一条工務店の布基礎とベタ基礎
我が家が一条工務店で建てた当時は、布基礎が標準工事で、地盤判定によってベタ基礎が追加工事になるという説明でした。
この記事を最初に書いた2020年当時、我が家が調べていた一条工務店のベタ基礎追加費用は、おおむね30~50万円程度でした。
ただし、これは現在の一条工務店の一律価格ではありません。
ベタ基礎の費用は建築面積、商品、契約時期などによって変わるため、現在家づくりをする場合は地盤調査後の実際の見積書で確認してください。
ベタ基礎にしたのに、なぜさらに地盤改良が必要?
「ベタ基礎だけでも追加費用なのに、どうしてさらに100万円以上の地盤改良が必要なの?」
と思う人もいるでしょう。
これはベタ基礎と地盤改良の役割が違うからです。
ベタ基礎は、建物の荷重を広い面積で地盤に伝えることができます。
ところが、地表付近だけでなく、その下に沈下しやすい軟弱な地層がある場合、単に基礎の接地面積を広くしただけでは、ベタ基礎を含めて建物全体が沈下する可能性があります。
そのため地盤条件によっては、
ベタ基礎+地盤補強
となることがあります。
一条工務店のソイルセメント(柱状改良)
一条工務店で以前から使われている地盤補強方法の一つがソイルセメントです。
一般には柱状改良と呼ばれます。
以前の記事では「セメント系固化剤と水を混ぜた柱を注入する方法」と紹介していましたが、正確には少し違います。
現地の土とセメント系固化材、水を地中で撹拌し、その場所の土を柱状の硬い改良体にします。
完成したコンクリート杭を地中に入れているわけではありません。
ソイルセメントは何mまで?
以前この記事では「最長7.5m程度」と紹介していました。
現在の一条工務店の一般向け解説では、柱状改良について約8m程度まで施工可能と説明されています。
ただし、「8mを超えた瞬間に必ず鋼管になる」という意味ではありません。
地盤の状態や建物条件、利用できる工法などによって判断されます。
ソイルセメントは必ず支持層まで届かせるわけではない
ソイルセメントは、必ずしも非常に硬い支持層まで届かせる工法ではありません。
改良体の太さ、長さ、本数、配置、地盤の支持力、沈下量などを考慮して建物を支えられるよう設計します。
そのため、
「ソイルセメント=硬い支持層までセメントの杭を打つ工法」
と考えると少し違います。
2020年当時の記事で紹介していたソイルセメント費用
この記事を最初に書いた当時は、
- 1坪あたり約1.2本
- 深さ7m程度
- 1本4~5万円程度
- 総額約100万円
という目安を紹介していました。
これは当時、我が家が家づくりをしていた時点で把握していた価格感です。
現在の一条工務店の標準設計や価格を示すものではありません。本数についても、現在は建物の坪数だけから単純に計算するのではなく、地盤や建物条件によって決まると考えた方がよいでしょう。
ソイルセメントと六価クロム
セメント系地盤改良を調べると「六価クロム」という言葉が出てくることがあります。
これはまったく根拠のない話ではなく、土とセメント系固化材の組み合わせによっては六価クロムの溶出が問題になる可能性があり、土質に合った固化材の選定や施工管理が重要とされています。
ただし、
「ソイルセメント=六価クロムで危険」
という理解も正しくありません。
気になる場合は、使用する固化材や試験・品質管理の方法について担当者へ確認してみるとよいでしょう。
一条工務店の小口径鋼管
もう一つ代表的なのが小口径鋼管です。
鋼管を回転させながら地中へ施工し、建物の荷重を地盤へ伝えます。
一条工務店の現在の一般向け解説では、戸建住宅規模では20m程度までが現実的な施工深さと説明されています。
鋼管杭が「一番強い」というわけではない
以前この記事では、
「一条工務店の地盤改良の中で最も強固なのが鋼管杭」
と紹介していました。
現在は、この表現は使わない方が正確だと考えています。
鋼管、ソイルセメント、PCパイルなどは単純に強さの順番で選ぶものではありません。
浅い部分だけが弱い土地なら、わざわざ非常に深く鋼管を施工する必要がない場合もあります。
反対に、深い位置の安定した地盤へ荷重を伝えたい場合には、小口径鋼管が適した選択になることがあります。
2020年当時の記事で紹介していた鋼管杭費用
この記事を最初に書いた当時は、
- 1坪あたり約1.2本
- 深さ12m程度
- 1本5~5.5万円程度
- 総額約120万円
という費用感を紹介していました。
当時はソイルセメント約100万円に対して鋼管杭が約120万円という感覚だったので、
「かなり深くなって鋼管になっても、思ったほど費用差は大きくないんだな」
と感じたのを覚えています。
ただし、これも現在の一条工務店の価格を示すものではありません。
現在一条工務店が一般向けに紹介している費用目安では、ソイルセメントと小口径鋼管の価格差は当時の我が家の価格感より大きくなっています。
我が家でも実際に鋼管杭を施工
我が家では実際の建築時に鋼管杭による地盤補強を行いました。
建築中の鋼管杭や基礎工事の様子はこちらの記事に残しています。
既製コンクリートパイルという方法もある
現在の一条工務店公式サイトには、既製コンクリートパイルも地盤補強方法として掲載されています。
工場で製造されたコンクリート製の杭状部材を地盤へ施工する方法です。
一条工務店の施主見積ではH型PCパイルが使われている例もあります。
ただし、使用できる工法は地域や地盤条件などによって異なるため、
「希望すれば必ずPCパイルを選べる」
という意味ではありません。
他社では地盤改良不要なのに、一条では鋼管杭。なぜ?
一条工務店を検討する人が疑問に思いやすいのが、
「同じ土地なのに、他の住宅会社では地盤改良なし、一条工務店では鋼管杭が必要と言われた」
というケースです。
これは十分にあり得ます。
必ずしもどちらかが間違っているという意味ではありません。
理由1 一条工務店には独自の地盤判定基準がある
一条工務店は、地盤調査について「厳密な自社基準」を設けていることを公式に明らかにしています。
SWSの測定結果だけでなく、敷地内の地盤の偏りや周辺状況、土地の履歴なども含めて判断しています。
そのため、他社では直接基礎で問題ないと判断した土地でも、一条の基準では地盤補強が必要になる可能性があります。
理由2 建てる家が違えば地盤への荷重条件も違う
地盤だけを見て基礎や地盤補強が決まるわけではありません。
同じ土地でも、
- 建物重量
- 建築面積
- 建物の配置
- 間取り
- 基礎形式
- 壁や柱から基礎へ伝わる荷重
などが違えば、必要な基礎設計も変わります。
したがって、
「A社では地盤改良不要だったから、一条でも不要なはず」
とは限りません。
一方で、「一条は家が重いから鋼管杭になる」と一律に説明できる根拠も確認できませんでした。
理由3 地盤調査結果をどう評価するかにも違いがある
戸建住宅で多く使われるSWS試験は便利ですが、万能な調査ではありません。
一条工務店自身も、SWSには土そのものを採取できないことや、非常に硬い地層には貫入できないことなどの限界があると説明しています。
つまり、
測定値だけを全国共通の表に当てはめれば、自動的に「杭あり・なし」が決まるわけではありません。
軟弱層の位置、厚さ、沈下の可能性などをどう評価するかによって、住宅会社の判断が異なることがあります。
一条工務店は地盤改良をやり過ぎている?
他社では地盤改良不要なのに、一条では150万円、200万円という鋼管杭の見積が出れば、
「本当に必要なの?」
「過剰設計では?」
と思うのは自然だと思います。
今回かなり調べましたが、一条工務店が不必要な地盤補強を行っていると判断できる客観的な資料は確認できませんでした。
一方、一条工務店自身が一般的な基準だけではなく「厳密な自社基準」で地盤を判定していることは確認できます。
そのため、
他社より安全側の判定になる可能性はある。しかし「厳しい=過剰」とまでは言えない。
というのが現時点では妥当だと思います。
逆に、他社が「地盤改良不要」と判断したからといって、その会社の設計が甘いとも限りません。
建てる建物や基礎設計そのものも違うためです。
隣の家は杭なしなのに、我が家だけ必要なのはおかしい?
おかしいとは限りません。
地盤は敷地境界できれいに同じ状態に分かれているわけではありません。
昔の地形や盛土、造成方法などによって、すぐ隣でも地盤状態が異なることがあります。
さらに、建物を建てる位置や建物重量も違います。
そのため、
「隣の家に杭がないから、自分の土地も杭なしで大丈夫」
とは判断できません。
ボーリング調査をすれば鋼管杭をなくせる?
必ずしもそうではありません。
SWSより詳しい追加調査を行った結果、
「実際には十分な地盤だった」
と判明する可能性もあります。
一方で、
「思っていたより軟弱層が深かった」
と分かる可能性もあります。
追加調査は杭をなくすためではなく、地盤について分からない部分を減らすために行うものと考えた方がよいでしょう。
鋼管杭を入れれば地震や液状化にも安心?
これも分けて考える必要があります。
地盤補強の大きな目的は、建物の荷重を安全に地盤へ伝え、有害な沈下を防ぐことです。
鋼管杭を施工したからといって、
- 耐震性能が最高になる
- 液状化しても絶対大丈夫
という意味ではありません。
建物自体の耐震設計や液状化リスクは別に確認する必要があります。
土地を買う前に地盤改良費を確認できる?
土地を買うときは、土地価格だけでなく地盤改良費まで考えた方がいいと思います。
例えば、
- 土地A:3,000万円+地盤補強なし
- 土地B:2,900万円+鋼管杭200万円
なら、土地Bの方が100万円安く見えても、家を建てるところまで考えると逆転します。
一条工務店では契約前の地盤調査も案内しています。
売主の許可や現場条件などの問題はありますが、土地購入前に調査できるのであれば、地盤補強費という大きな不確定要素を減らすことができます。
一条工務店の地盤改良費用の目安
現在、一条工務店の一般向け公式ページで紹介されている地盤補強費用の目安は次の通りです。
| 工法 | 深さの目安 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 表層改良 | 約2m | 約80~150万円 |
| 柱状改良 | 約8mまで | 約80~120万円 |
| 既製コンクリートパイル | 約15~20m | 約100~150万円 |
| 小口径鋼管 | 戸建てでは約20mまで | 約150~200万円 |
※上記は一条工務店公式サイトが紹介している一般的な目安です。実際の見積金額は、建物、地盤、深さ、本数、地域、契約時期などによって変わります。
一条工務店で実際に家を建てるときに必要となる総額や、建物本体以外にかかる費用についてはこちらでもまとめています。
ソイルセメントや鋼管杭は将来撤去する必要がある?
我が家が家づくりをしていた当時、この点がとても気になり、一条工務店の営業担当者に聞きました。
当時の説明では、
「ソイルセメントや鋼管杭は導入されてからまだ20数年で、解体撤去した事例は聞いていない。推測では、ソイルセメントも鋼管杭も撤去費用は1本8万円程度で、23本なら200万円程度ではないか」
とのことでした。
また、ソイルセメントについては、鋼管のようにそのまま引き抜くのではなく、細かく破砕しながら取り除くことになる、という説明でした。
これはあくまで当時、一条工務店の営業担当者から聞いた概算の話です。
現在改めて調べてみると、
家を解体するときに、地中の杭や改良体を必ずすべて撤去しなければならない、と一律に決まっているわけではありません。
国土交通省の建築物解体工事に関する仕様にも、杭を撤去する場合だけでなく、残置する場合の記録方法が定められています。
また、既存杭については、次の建物や地盤条件などを考慮して、撤去・残置・再利用などを検討する考え方があります。
それなら杭は地中に残しておけばいい?
これも単純ではありません。
次に建てる建物の基礎や杭と干渉する場合には、既存杭の撤去が必要になる可能性があります。
一方、無理に引き抜くことで地盤を乱すより、残置した方が合理的な場合もあります。
つまり、
「杭は必ず撤去」でも「杭は必ず残してよい」でもありません。
将来の建て替え計画と地盤条件を見て、その時点の設計者などが判断することになります。
土地を売却するとき、地盤改良は不利になる?
既存杭や地盤改良体があることによって、土地が売れなくなるわけではありません。
ただし、次の買主が建物を建てようとしたときに既存杭が邪魔になれば、撤去費用が発生する可能性があります。
だからこそ地盤改良を行った場合は、
- 地盤調査報告書
- 施工した工法
- 杭・改良体の位置
- 本数
- 深さ
- 施工記録
を残しておくことが非常に重要です。
地盤改良したことを隠すのではなく、将来の建て替えや売却時に正確な情報を渡せるようにしておくのがよいでしょう。
一条工務店で鋼管杭と言われたら確認したい7項目
地盤改良は100万円単位になることがあります。
そのため、「一条が必要と言ったから仕方ない」で終わらせず、地盤調査報告書を見ながら説明を聞いておくことをおすすめします。
- 地盤調査のどの測点が問題なのか
- どの深さの地盤が問題なのか
- 軟弱層は何m程度まで続いているのか
- なぜベタ基礎だけでは対応できないのか
- なぜソイルセメントやPCパイルではなく鋼管なのか
- 鋼管を何mまで施工し、どの地盤で支持するのか
- 本数はどのような考え方で決まったのか
特に、
「鋼管杭○本、○○万円です」だけでなく、なぜこの土地にこの工法が必要なのか
まで聞いておくことが重要だと思います。
まとめ|地盤改良は「いくら?」だけでなく「なぜ必要?」まで確認したい
一条工務店では地盤調査を行い、その結果から基礎や地盤補強方法を選定します。
以前は、
「布基礎 → ベタ基礎 → ソイルセメント → 鋼管杭」
のような単純な順番で考えていました。
しかし改めて調べると、実際にはそれほど単純ではありません。
布基礎・ベタ基礎は建物の基礎。
ソイルセメント・PCパイル・小口径鋼管などは地盤を補強する方法。
まずこの2つを分けて考える必要があります。
また、
「他社では地盤改良不要、一条では鋼管杭」
という判定になることもあります。
一条工務店は独自の厳密な地盤判定基準を設けているためです。
ただし、具体的な判定基準の数値までは公開されていないため、
「一条は必ず過剰設計」
とも、
「一条の判定だけが絶対に正しい」
とも断定できません。
100万円を超える地盤補強が必要と言われたら、金額だけを見るのではなく、
「この土地のどこが問題で、なぜこの工法が必要なのか」
を地盤調査結果と一緒に説明してもらうことをおすすめします。
そして、地盤補強をしたからといって、将来の解体時に必ずすべて撤去するとは限りません。
一方で、建て替えや土地売却に影響する可能性はあります。
地盤調査報告書と地盤改良の施工記録は、家の重要書類として長期間保管しておきましょう。
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