断熱性が高いハウスメーカーを選ぶなら、UA値が一番小さい会社を探せばよいのでしょうか?
結論から言うと、それでは不十分です。
UA値は大切ですが、同じメーカーでも商品、地域、窓の大きさ、間取りによって変わります。カタログの数字が、上位仕様やモデルハウスだけの値ということもよくあります。しかもUA値は設計上の計算値。実際の施工精度を見るには、家のすき間を実測するC値も確認したいところです。
一条工務店で家を建てた施主として、2026年時点の公式情報を主要29社まで調べ直した結論は次のとおりです。
- 全国で選びやすく、主力商品の標準性能まで含めた総合力なら一条工務店。2026年4月にグラン・スマート/アイ・スマートで断熱等級7を標準化しました
- アイ工務店は明確な上位候補。N-eesのUA値0.28以下、全棟気密測定、約束値C値0.5以下、平均C値0.32を公式情報で確認できます
- 平均値の開示ならウェルネストホーム、等級7の全エリア標準化なら土屋ホーム、数値基準と測定工程の明確さならAsu-hausに、それぞれ別の強みがあります
- 積水ハウス、住友林業、ダイワハウスなどの大手も除外せず、等級対応と数値の公表状況を一覧で確認します
- ただし最後に比べるべきはメーカー名ではなく、自分が契約する商品・間取りのUA値、C値の測定方針、窓、日射遮蔽、換気、冷暖房計画です
この記事の制度・商品情報は2026年8月17日に公式一次情報で確認しています。表の数値には商品の上限値・平均実測値・モデルプラン値・過年度値が混在するため、数値だけの厳密な順位ではありません。建築地・プラン・販売時期で条件が変わるので、契約前に最新の仕様書・外皮計算書・気密測定条件を必ず確認してください。
氷点下のロシアより、日本の家の中の方が寒かった
そもそも私が断熱にこだわるようになった原点は、極寒のロシアで暮らしたカナダ製の外断熱の家です。
外に置き忘れたバナナが凍ってしまうほどの寒さなのに、家の中は暖かいというより「寒くも暑くもない」。床暖房が入っていなくても真冬にフローリングを素足で歩けて、リビングも廊下もお風呂もトイレも玄関も、家じゅうどこも同じ気温。駐車場兼物置のガレージを除けば、一年中薄着で過ごせました。
家の中の気温が変わらないと、暑い寒いはもちろん、「あったかい」「涼しい」とすら思わなくなるんです。温度についてなにも考えない、温度のストレスがゼロの生活。これが高断熱・高気密の家の正体です。
あの家の窓はトリプルガラスの重いサッシで、真冬でも結露ひとつしませんでした。窓の下には全館空調の吹き出し口があり、窓辺で冷やされた空気が足元へ流れ落ちる「コールドドラフト」を打ち消す配置。当時は何も知りませんでしたが、あとで勉強して、断熱・気密・窓・空調がワンセットで設計されていたのだと気づきました。
ところが日本に帰ってきて、家のあまりの寒さにビックリ。廊下が寒い、トイレが寒い、浴室が寒い。壁や床が冷たくてスリッパが手放せない。ある冬の日、リビングで測ってみたら、室温23℃なのに床は16℃、窓ガラスは10℃未満で結露していました。
なんなんだ。この家は!!!!
氷点下何十度のロシアの家より、日本の家の中の方が寒い。床が冷えるから床暖房を入れ、トイレが寒いから便座だけを温める。寒くない家を作るのではなく、便座を温める——なんという対処療法! 暖房便座は、寒い日本の家が生んだガラパゴスの一つかもしれません。
この不快さの正体が「断熱性・気密性という家の性能」だと知ってから各社のスペックを調べ続け、最終的に一条工務店で家を建てました。このランキングは、その調べものの2026年版です。
暖かい家は断熱だけでは作れない:断熱・気密・換気の三位一体
ここで一つ、大切な前提があります。暖かい家をつくるのは、実は断熱性だけではありません。断熱・気密・換気の三位一体が必要です。
- 断熱性:壁・屋根・床・窓から熱を逃がさない性能。UA値で表します
- 気密性:家のすき間から空気(=熱と湿気)が勝手に出入りしない性能。C値で表します
- 換気:気密で閉じた家の空気を、計画どおりに入れ替える仕組み
どれか一つ欠けると台無しです。断熱材がどんなに厚くても、すき間だらけならすき間風で熱が逃げます。断熱・気密が高くても換気が計画されていなければ、空気がよどみ、湿気や汚れがこもります。ロシアで住んだあの家が快適だったのも、分厚い断熱材・重いトリプルサッシ・全館空調の換気がワンセットで働いていたからでした。
三位一体の仕組みそのものは、別記事で詳しく解説します。
このページではまず、その入口である断熱性を軸にハウスメーカーを比較します。気密(C値)と換気は、ランキングを正しく読み解くのに必要な範囲で後半に触れます。
まず結論:本当に比べるべきは「メーカー名」ではなく自分の提案住宅
ランキングは、候補を見つける入口としては便利です。
ただ、家を建てるときに納品されるのは「一条工務店」や「アイ工務店」という会社名ではありません。自分の土地に、自分の窓と間取りで建つ一棟です。同じ会社でも、商品、地域、窓、建物形状でUA値は変わりますし、C値は現場で測らなければ分かりません。
そこでこの記事では、各社を次の4つの層で見ます。
| 確認する層 | 見るもの | 見落とした場合のリスク |
|---|---|---|
| 設計性能 | 自邸のUA値・ηAC値、窓・ドア仕様、一次エネルギー計算 | カタログの最高値と自邸の性能が違う |
| 施工再現性 | 断熱・防湿・気密層の納まり、C値測定、補修・再測定 | 設計値が良くても隙間や断熱欠損が残る |
| 温熱設計 | 日射遮蔽、換気、除湿、冷暖房負荷、空気の通り道 | 冬は暖かいが夏・中間期に暑い、部屋ごとに差が出る |
| 証拠化 | 外皮計算書、気密測定報告書、BELS、住宅性能評価書 | 「高性能と聞いた」だけで、引渡し後に確認できない |
ランキング1位をそのまま契約するより、候補各社にこの4層をそろえた提案を出してもらう方が重要です。この視点を持ったうえで、ランキングを入口として使ってください。
2026年版・断熱性が高いハウスメーカー総合ランキングTOP10
このランキングは単純なUA値の小さい順ではありません。次の5点を施主目線で見た総合評価です。
- 断熱等級と公式公表値
- C値の公表・全棟測定・未達時対応
- 標準仕様か、上位商品・オプションか
- 建築できる地域と選びやすさ
- カタログの最高値ではなく、普通に選んだときに高性能になりやすいか
| 順位 | メーカー・商品 | 断熱・気密の公式情報と注意点 | 40坪・外構込み予算目安※ |
|---|---|---|---|
| 1 | 一条工務店 グラン・スマート/アイ・スマート | 対象主力商品で断熱等級7標準(2026年4月発表)。対応4商品の平均実測C値0.59、全棟測定注意:固定UA値はプラン別。C値平均の集計期間・棟数・測定段階は未公表 | 4,200万〜5,700万円 |
| 2 | アイ工務店 N-ees | UA値0.28以下、全棟気密測定、約束値C値0.5以下、平均C値0.32注意:全国共通の契約保証条項、平均の母数・期間・測定段階は未確認 | 4,000万〜5,500万円 |
| 3 | ウェルネストホーム | 平均UA値0.25・平均C値0.2(メーカー調べ・2025年8月)注意:対象棟数・集計期間・C値の測定段階は未公表。施工エリアも確認 | 5,100万〜7,000万円 |
| 4 | 土屋ホーム BES-T019 | 断熱等級7を全販売エリアで標準化。UA値0.19はPremier仕様・実証実験住宅の値。旧平均C値0.38注意:UA0.19は全プラン固定値ではない。C値は2017〜18年の北海道226棟平均 | 4,100万〜5,800万円 |
| 5 | Asu-haus(旭化成ホームズ) | UA値0.26以下・C値0.2以下を標準。全邸で中間・完成前の2回測定注意:「確実に達成」の明記は中間検査時点。施工可能エリアも確認 | 6,700万〜8,500万円 |
| 6 | ヤマト住建 エネージュG3+ | UA値0.22、C値0.5以下注意:特定商品の値でプラン・地域により変動。全商品共通ではない | 4,700万〜6,200万円 |
| 7 | スウェーデンハウス | 標準仕様UA値0.36、強化断熱仕様UA値0.20〜0.26、2022年度全棟平均C値0.64。各邸計算・全棟測定注意:標準・強化・過年度平均は別データ。1棟のセット値にしない | 5,000万〜6,500万円 |
| 8 | 日本ハウスHD | 商品・グレード・地域別にUA値0.25〜0.39(北海道0.25〜0.34)、C値0.5注意:0.25だけを代表値にしない。測定時点・未達時対応を確認 | 4,400万〜5,600万円 |
| 9 | アキュラホーム | 2026年5月以降の新規契約で基本商品を等級6相当へ。「超断熱の家」は等級7注意:AQコレクション等の例外あり。固定UA・C値は未公表 | 3,900万〜5,400万円 |
| 10 | タマホーム 笑顔の家 | UA値0.23(6・7地域の自社試算プラン値)注意:特定商品のモデル値。1〜3地域はG2相当とされ、プランで変動 | 3,400万〜4,900万円 |
※予算は公式価格ではなく、公開されている坪単価・40坪総額事例を横断し、付帯工事と外構180万〜300万円を加えて丸めた編集部試算です。土地代・地盤改良・擁壁・諸費用は含みません。算定条件の詳細は後述します。
順位に異論はあると思います。
公表値の小ささだけなら、土屋ホームやヤマト住建の上位商品、ウェルネストホーム、Asu-hausが一条工務店より小さい数値を示す場面があります。ただし、代表値・平均値・基準値・標準仕様は同じ種類のデータではありません。異なる性質の数字を小さい順に並べるほど、比較はゆがみます。
それでも一条工務店を総合1位としたのは、主力商品で等級7を標準化し、広い地域で選びやすく、C値の平均実測値も公表しているためです。またアイ工務店は旧版のこの記事に入っていませんでしたが、これは明確な不足でした。性能値、全棟測定、比較検討する人の多さを考えると、総合上位に入れない理由がありません。

主要29社の断熱性能・標準仕様・予算を一覧比較
TOP10に入らないメーカーが「低断熱」という意味ではありません。
大手には、大開口、鉄骨、3階建て、設計自由度を優先しながら等級6・7へ対応する会社があります。ただし会社全体の固定UA値・C値を公表していないことが多く、単純な数値ランキングでは不利になります。この表では、数値を確認できない会社を低評価にせず「未公表・未確認」を情報として残しています。
| メーカー | 公式確認できた断熱・気密情報と注意点 | 40坪・外構込み予算目安※ |
|---|---|---|
| 一条工務店 | 対象主力商品で等級7標準。平均実測C値0.59・全棟測定注意:自邸UA値と、C値平均の条件を確認 | 4,200万〜5,700万円 |
| アイ工務店 | N-ees:UA0.28以下、約束C0.5以下、平均C0.32、全棟測定注意:全国共通の保証条項と平均の条件を確認 | 4,000万〜5,500万円 |
| ウェルネストホーム | 平均UA0.25・平均C0.2(2025年8月・メーカー調べ)注意:母数・期間・測定段階を確認 | 5,100万〜7,000万円 |
| 土屋ホーム | BES-T019で等級7を全エリア標準。UA0.19はPremier仕様・実証住宅値。旧平均C0.38注意:UAは全プラン固定でない。C値は過年度の北海道平均 | 4,100万〜5,800万円 |
| Asu-haus | UA0.26以下・C0.2以下標準。全邸2回測定注意:完成前測定の合格基準も確認 | 6,700万〜8,500万円 |
| ヤマト住建 | エネージュG3+:UA0.22・C0.5以下注意:特定商品の値。プラン・地域で変動 | 4,700万〜6,200万円 |
| スウェーデンハウス | 標準UA0.36、強化仕様UA0.20〜0.26、2022年度全棟平均C0.64注意:標準・強化・過年度平均を分けて読む | 5,000万〜6,500万円 |
| 日本ハウスHD | 商品・地域別UA0.25〜0.39、C0.5注意:測定時点・未達時対応を確認 | 4,400万〜5,600万円 |
| アキュラホーム | 基本商品は等級6相当へ(2026年5月〜)。「超断熱の家」は等級7注意:商品例外あり。自邸の計算・測定を確認 | 3,900万〜5,400万円 |
| タマホーム | 笑顔の家:UA0.23(自社試算プラン値)注意:特定商品のモデル値 | 3,400万〜4,900万円 |
| 泉北ホーム | 方針UA0.60以下・C1.0以下。上位商品+℃ermo7Gは等級7対応注意:会社方針と上位商品を分けて確認 | 3,600万〜5,200万円 |
| セルコホーム | THE HOME指定仕様UA0.32。C0.5は1棟の実測例注意:C0.5を商品共通値にしない | 3,400万〜4,900万円 |
| クレバリーホーム | 標準UA0.46以下、上位仕様0.26。C値は未確認注意:C値の測定方針を確認 | 3,600万〜5,200万円 |
| 桧家住宅 | 等級6。断熱材施工直後の平均C0.31・全棟測定注意:完成時のC値と横並びにしない | 4,000万〜5,600万円 |
| 三井ホーム | MOCX THERMO:5〜7地域で等級7、1〜4地域で等級6注意:地域・構造条件あり。自邸のUA・C値を確認 | 5,600万〜7,700万円 |
| ミサワホーム | 条件付きで等級7対応。「気密1.0仕様」は選択提案注意:C1.0は会社平均・標準・保証値ではない | 5,000万〜7,300万円 |
| 住友不動産 | 「断熱最高等級7の家」UA0.25(2024年発表・約49坪モデル)注意:2026年時点の販売条件は要確認 | 4,900万〜6,500万円 |
| パナソニック ホームズ | 2024年に特定平屋モデルで等級7をオプション対応注意:現行の販売条件・対象範囲は要確認 | 5,100万〜7,500万円 |
| ダイワハウス | 対象商品で等級6標準。UA0.44はシミュレーション住宅の値注意:0.44を会社代表値にしない | 5,100万〜7,800万円 |
| セキスイハイム | 5〜7地域の対象平屋・2階建て商品で等級6標準注意:0.46は制度の基準値で実績値ではない | 4,700万〜6,500万円 |
| 積水ハウス | 公式ページで等級6への対応を案内。固定UA・C値は未公表注意:標準範囲か追加費用かは商品・時期で異なるため見積もりで確認 | 6,200万〜9,000万円 |
| ヘーベルハウス | 全戸建商品でUA0.46以下・等級6標準(3階建て含む)注意:C値は未公表 | 5,500万〜8,100万円 |
| ユニバーサルホーム | 5地域基本UA0.60以下・C0.5以下。地域によりUA0.26以下に対応注意:全国単一値ではない。北海道等は別仕様 | 3,200万〜4,700万円 |
| アエラホーム | クラージュ:試算UA0.26・等級7。全棟UA計算・第三者気密検査、未達時は手直し・再測定注意:UAは試算値でプラン変動。固定C値は置かない | 3,400万〜4,900万円 |
| 住友林業 | 全地域で2027年新ZEH基準(等級6)に対応注意:固定UA・C値は未公表 | 5,500万〜7,800万円 |
| トヨタホーム | 会社共通の固定UA・C値、等級の適用範囲は今回確認できず注意:候補商品の仕様書・外皮計算書で確認 | 4,700万〜6,500万円 |
| アイフルホーム | FAVO PREMIUM:UA0.26・等級7、原則全棟測定、2025年度実物件平均C0.46注意:平均の母数・測定段階、例外条件を確認 | 3,700万〜5,200万円 |
| 富士住建 | 標準プランで等級5・6。固定UA・C値は未確認注意:プラン別の書面で確認 | 3,300万〜4,700万円 |
| 三菱地所ホーム | 2×NEXT:等級6、UA0.39はモデルプラン計算値注意:規模・間取りで変動。C値は未確認 | 6,500万〜9,300万円 |
※確認日2026年8月17日。予算列はすべて編集部試算(公開坪単価・総額事例ベース)で、公式の統一価格ではありません。「未公表・未確認」は性能が低いという意味ではありません。
この表で一番大切なのは、「数字がない会社を勝手に低性能と決めない」ことです。
反対に、「等級7に対応」と書いてあるだけで、標準仕様か、追加費用がいくらか、自分のプランで実際に何等級・UA値いくつになるのかを確認せず、高性能だと思い込むのも危険です。
40坪・外構込みの予算はいくら見ておけばいい?
性能が良くても、予算が合わなければ候補にできません。上の表の予算列は、延床40坪(約132㎡)の2階建てで高断熱仕様を選んだ場合の、土地代を除く税込の資金計画レンジです。
ざっくり言えば、コストを抑えやすい会社で3,000万円台後半から、大手・高性能系で5,000万〜8,000万円台、都心型の高価格帯メーカーでは9,000万円前後まで見ておく必要があります。「この金額で建つ」という約束ではなく、展示場へ行く前に候補を絞るための初期予算として使ってください。
予算目安の算定条件(クリックで開く)
- 延床40坪=約132.2㎡の2階建てを想定。2026年8月時点の税込概算
- 建物本体、標準的な付帯工事、設計・確認申請、一般的な追加工事、外構180万〜300万円を含む
- 地盤改良、解体、擁壁・造成、防火地域・3階建て・狭小地の加算、太陽光・蓄電池(標準外の場合)、登記・ローン・保険、家具家電、土地代は含まない
- 各社の最安商品ではなく、この記事で扱う高断熱商品・上位断熱仕様側へ寄せて推計。公開された40坪総額があればそれを優先し、なければ公開坪単価に付帯工事等を本体の20〜30%程度として補正して100万円単位で丸めた
- 坪単価に太陽光・床暖房・全館空調・タイル外壁・設計料をどこまで含むかは会社ごとに異なるため、下限だけで候補を決めず、同じ断熱等級・窓・設備・外構をそろえた最終総額で比較すること
2026年に変わったこと:断熱等級7が現実的な比較軸になった
2025年4月以降に着工する住宅では、省エネ基準への適合が義務になりました。さらに国は、遅くとも2030年までに基準をZEH水準へ引き上げる予定です。
6地域(東京・大阪など)を例にすると、断熱等級とUA値の関係は次のとおりです。
| 断熱等級 | UA値の基準(6地域) |
|---|---|
| 等級4 | 0.87以下 |
| 等級5 | 0.60以下 |
| 等級6 | 0.46以下 |
| 等級7 | 0.26以下 |
1〜3地域の等級6/7はUA値0.28以下/0.20以下、4地域は0.34以下/0.23以下です。8地域は等級6がηAC基準で、戸建住宅の等級7は設定されていません。
注意したいのは、等級6なら全部同じではないことです。6地域ではUA値0.46でも0.28でも同じ等級6です。等級名だけでなく実際のUA値を確認した方が比較しやすくなります。UA値がどこまで必要かの考え方は、UA値はどこまで必要か?(歴史・関東・北海道・諸外国例)で別途まとめています。
また、HEAT20のG1・G2・G3(6地域の参考UA値は0.56/0.46/0.26)は、代表都市で室温と暖房負荷のシナリオを実現するための参考水準です。住宅性能表示制度の断熱等級と数字が近くても、制度も目的も同じではないため、この記事では「G3認証」ではなく「G3水準」と表現します。
さらにHEAT20は2025年7月、夏期・中間期の水準「G-A・G-B」を提案しました。高断熱化した住宅ほど、日射遮蔽や外気の取り入れを適切に設計しないと冷房の期間・負荷が増えるおそれがあるという整理です。UA値だけでは夏の快適性を評価できません。
1位 一条工務店:主力商品で断熱等級7を標準化
2026年4月、一条工務店はグラン・スマートとアイ・スマートで断熱等級7を標準仕様にすると発表しました。販売地域の全都道府県(省エネ基準地域区分1〜7)で対応可能とされています。ただし建築地・プラン・採用仕様によっては対応できない場合があります。
一条工務店の強みは、最高性能のモデルハウスだけでなく、主力商品で高断熱仕様を普通に選べることです。
気密については、公式サイトがグラン・スマート、アイ・スマート、アイ・キューブ、ナチュリアを対象に、平均実測C値0.59cm²/m²と全棟気密測定を公表しています。施主の間では「社内基準0.7以下、超えたら補修」という運用も広く報告されています。ただし平均値の集計期間・棟数・測定段階は公表されておらず、個別住宅の保証値ではありません。断熱材は対象仕様で外側最大50mm+内側最大140mmの高性能ウレタンフォームです。
一方、旧版のこの記事に載せていたUA値0.28を、現在のグラン・スマートやアイ・スマートすべての固定値として使うのはやめました。UA値は窓、方位、家の形、地域で変わります。契約する家の外皮計算書で確認するのが確実です。
気になる価格は、実際の見積もりをもとに別記事で公開しています。
【26年7月】一条工務店 3階建ての坪単価 ismart グランセゾン 東京編
一条工務店の弱点もある
断熱・気密が高ければ、それだけで快適になるわけではありません。夏の日射をどう遮るか、除湿をどうするか、冷暖房の風をどう回すかも大切で、正直に言えば一条工務店の空調計画や間取りの提案力には改善余地があると感じます。実際に作ってもらった間取りは一条工務店の間取り事例で紹介しています。
設計自由度やデザインを最優先するなら、他社の方が合う人もいます。何を優先するかは契約前に整理しておいた方がよいと思います。
高断熱なら床暖房は不要?
旧版では「断熱性が高ければ床暖房は不要」と強く書いていました。今も、床暖房がなければ高断熱住宅が快適にならない、とは思いません。高断熱・高気密で空調計画が良ければ、エアコンでも家全体を快適にできます。
一方で、床の表面を直接暖める床暖房には独特の心地よさがあります。床材、設定温度、生活スタイルで評価が変わるので、「不要」と言い切るのは言い過ぎでした。
一条工務店の詳細・建築実例と無料カタログ請求:一条工務店の商品詳細
2位 アイ工務店:UA値0.28以下・平均C値0.32・全棟気密測定
アイ工務店は旧版に入っていませんでしたが、断熱重視で一条工務店と比較する人にとって外せないメーカーです。
公式情報では、N-eesでUA値0.28以下、第三者機関による全棟C値測定、約束値0.5以下、平均実測C値0.32を確認できます。2025年9月の仕様強化以降、これらは特定エリアだけでなく全棟の標準仕様として扱われています。ただし、全国共通の契約保証条項や、平均値の対象期間・棟数・測定段階までは公表資料で確認できませんでした。
注意点もあります。6地域の断熱等級7基準はUA値0.26以下です。UA値0.28はかなりの高性能ですが、5〜7地域では等級7ではなく等級6の範囲です。「業界最高水準」という言葉だけで判断せず、自分の建築地・プランのUA値と、気密測定の時期、0.5を超えた場合の補修・再測定の運用を確認しましょう。
3位 ウェルネストホーム:平均UA値0.25・平均C値0.2
ウェルネストホームは、公式サイトで平均UA値0.25、平均C値0.2を掲げています。注記は「メーカー調べ(2025年8月)」です。
UA値とC値の両方を平均値として示している点は、情報開示として大きな強みです。ただし、対象棟数、集計期間、C値の測定段階は公表ページだけでは確認できません。契約前には平均値の条件と、自邸の目標値を確認するとより確実です。
また、一条工務店やアイ工務店ほど全国どこでも検討しやすいとは限りません。施工エリア、建築費、メンテナンス体制を含めて判断してください。
4位 土屋ホーム:BES-T019・断熱等級7を全販売エリアで標準化

北海道生まれの土屋ホームは、断熱等級7を実現するダブル断熱構法「CARDINAL HOUSE BES-T019」を標準仕様としています。2026年1月の公式資料では、北海道を含む全販売エリアで太陽光発電の標準搭載も始めました。等級7の全エリア標準化は、現行の公式資料で確認できる強い情報です。
公式サイトにはUA値0.19が大きく掲示されていますが、注記を読むとPremier仕様で、札幌市内の実証実験住宅(2022年4月)の値。プランによりUA値0.19に満たない場合があると明記されています。「全プランが0.19」ではありません。
C値0.38は2017〜2018年の北海道4地区226棟の平均で、現行の全国平均ではありません。自分のプランでは外皮計算書と、現行の気密測定基準・未達時対応を確認しましょう。
土屋ホームの詳細・建築実例と無料カタログ請求:土屋ホームの商品詳細
5位 Asu-haus:UA値0.26以下・C値0.2以下を標準、全邸2回測定
旭化成ホームズの木造住宅ブランドAsu-haus(アスハウス)は、断熱等級7・UA値0.26以下、C値0.2以下を標準仕様とし、JISに基づく気密測定を全邸で中間検査時と完成前の2回行います。公式が「確実に達成」と明記しているのは特に中間検査時点で、完成前測定の結果と未達時の扱いは書面で確認したいところです。2026年1月には一次エネルギー消費量等級8対応と太陽光・蓄電の標準搭載も発表しています。
UA値・C値の基準と測定回数・時点をここまで明確にしている会社は多くありません。さらに日射シミュレーション、庇、外付け遮蔽、換気と空調まで一体で説明しており、この考え方は他社を選ぶ場合にも参考になります。
注意点は建築可能な地域と価格帯です。候補に入れる場合は、土地が施工対象かを最初に確認してください。
6位 ヤマト住建:エネージュG3+はUA値0.22・C値0.5以下

ヤマト住建のエネージュG3+は、公式サイトでUA値0.22、C値0.5以下を公表しています。HEAT20のG3水準(6地域UA0.26以下)を狙う商品で、断熱と気密をセットで示しているため比較しやすいのが特徴です。
ただしこれは特定商品の値で、公表UA値はモデルハウス・プラン条件により変動します。ヤマト住建の全商品に共通する値でもありません。見積もり時には、商品名、標準仕様、追加費用、実邸の気密測定を確認しましょう。
ヤマト住建の詳細・建築実例と無料カタログ請求:ヤマト住建の商品詳細
7位 スウェーデンハウス:全棟測定と情報開示が強い

スウェーデンハウスの良さは、最高値だけを宣伝するのではなく、一棟ごとに断熱性能を計算し、C値を測定して数値を示して引き渡す姿勢です。
公式資料では標準仕様UA値0.36、2024年発表の強化断熱仕様でUA値0.20〜0.26、そして2022年度に引き渡した全棟の平均C値0.64cm²/m²を公表しています。これらは対象仕様・年度が異なるため、1つの住宅のセット値としては扱えません。
旧版で紹介した2016年度平均(Q値1.32、UA値0.42、C値0.62)と比べると、上位の断熱仕様が増えました。それでも、実績の平均値を昔から開示し続けている姿勢は変わっていません。「自分の家の数値を引き渡し時に確認したい」人には分かりやすいメーカーです。
スウェーデンハウスの詳細・建築実例と無料カタログ請求:スウェーデンハウスの商品詳細
8位 日本ハウスHD:UA値0.25〜0.39・C値0.5
日本ハウスHDは、2025年の商品資料で「やまとグレートステージ」のUA値0.25〜0.39(北海道0.25〜0.34)、C値0.5を商品・グレード・地域別に示しています。
最小の0.25だけをメーカー代表値として比較せず、選ぶグレードと自邸の外皮計算結果、C値の測定時点・未達時対応を確認してください。なお、今回確認した一次資料では全棟気密検査や認定証発行までは確認できなかったため、この記事ではそこまでは書きません。
9位 アキュラホーム:等級6相当を基本に、等級7商品もある
アキュラホームは、2026年5月以降の新規契約から注文住宅の基本商品を断熱等級6相当に引き上げるとしています(AQコレクション等の例外あり)。さらに「超断熱の家」は断熱等級7の商品です。
全国系で標準性能を等級6まで引き上げつつ、予算に応じて等級7商品も選べるのは分かりやすい構成です。一方、公式ページで固定UA値・C値は確認できなかったため、見積もりでは自分のプランの数値、気密測定の有無、追加費用を確認しましょう。
10位 タマホーム:「笑顔の家」はUA値0.23
タマホームの「笑顔の家」は、6・7地域でUA値0.23を公表しています。全国系の価格帯で高断熱商品を検討したい人には有力な候補です。
ただしUA値0.23は自社試算プランの値で、全商品共通ではありません。1〜3地域ではHEAT20 G2相当とされ、UA値はプランや条件で変わります。「タマホームの標準的な家がすべてUA0.23」と誤解しないことが大切です。
大手も要チェック:住友不動産と「標準」「対応可能」の読み分け
住友不動産は2024年に「断熱最高等級7の家」(UA値0.25・約49坪モデル)を発表しました。大手でデザインと高断熱を両立したい人には検討価値がありますが、確認できた一次資料は2024年発表のもので、2026年時点の販売地域・標準仕様・追加費用は見積もり時に再確認してください。
そのほかの大手は、固定UA値を出していないから低性能というわけではありません。ただし「対応可能」を「標準」と読み替えるのも危険です。2026年8月時点の公式情報を整理すると次のとおりです。
- 三井ホーム:MOCX THERMOは5〜7地域で等級7、1〜4地域で等級6に対応。デザイン重視で等級7を狙える貴重な選択肢
- 積水ハウス:公式の性能ページでは等級6への対応を案内。標準範囲か追加費用かは商品・時期によって情報が分かれるため、自分の見積もりの等級・UA値で確認
- 住友林業:360°TRIPLE断熱で、すべての地域で2027年新ZEH基準(等級6)に対応
- ダイワハウス:対象商品で等級6を標準化。公表UA値0.44はシミュレーション住宅の値
- セキスイハイム:5〜7地域の対象平屋・2階建て商品で等級6標準
- ヘーベルハウス:3階建てを含む全戸建商品でUA値0.46以下・等級6標準
- パナソニック ホームズ:2024年に特定の平屋モデルで等級7をオプション対応。現行の販売条件は要確認
- ミサワホーム:条件付きで等級7に対応。「気密1.0仕様」は選択提案で、会社平均や保証値ではない
- トヨタホーム:会社共通の固定値・等級適用範囲を今回の公式一次情報では特定できず

営業担当者から「対応しています」と聞いたら、標準価格に含まれるのか、どの商品・地域・構造で可能なのか、自分のプランが実際に何等級・UA値いくつになるのかを確認してください。

大手数社には実際に間取りと見積もりをお願いした経験もあります。性能値とは別に、提案力や対応には各社の個性がはっきり出ました。ミサワホームの間取り・見積もり事例と三菱地所ホームの間取り事例で紹介しています。

同じUA値でも住み心地が違うのはなぜ?
UA値は、外壁・屋根・床・窓などから逃げる熱を外皮面積で平均した設計値です。平均値なので、次の違いまでは1つの数字で表し切れません。
- 窓の性能と配置:リビングの大窓の性能が低ければ窓際の表面温度は下がりやすく、東西の窓は夏の日射で冷房負荷を増やします。窓全体のU値、日射取得率、方位、外付け遮蔽まで確認を。窓の選び方は断熱性の高い窓・サッシ ランキングにまとめています
- 熱橋と局所的な表面温度:柱・梁・基礎・金物・バルコニー接続部など熱の通り道は、平均値だけでは読み切れません。納まりと結露対策を確認します
- 家の形:同じ床面積でも、凹凸の少ない総2階と、複雑な形や大きな吹き抜けでは条件が変わります
- 日射の取得と遮蔽:冬の日射は暖房を助け、夏の日射は冷房負荷になります。庇、外付けシェード、隣家の影まで計画に入れます
- 冷暖房・換気・除湿:高断熱でも、冷暖房した空気が個室へ届かなければ温度差は残ります。空気の通り道と除湿計画も影響します
C値は「いくつか」より測定プロトコルを見る
C値は計算値ではなく、送風機で室内外に圧力差をつくって測る実測値です。
国土交通省の2025年発行の設計ガイドは、HEAT20が断熱レベルによらず目指す目安としてC値0.7±0.2cm²/m²を紹介しています。ただしこれは法定基準ではなく、「0.5を超えたら失格」「0.3なら必ず快適」という線引きはできません。また、条件のそろわない平均C値を並べて会社の順位を作ることも、この記事ではしません。
会社間の数字比較より、自分の家について次を確認してください。
- 測定時点:断熱・気密施工後の中間か、設備・仕上げ後の完成前・完成時か
- 測定方法:JIS A 2201に沿うか、報告書が出るか
- 数値の性質:平均・目標・上限・保証のどれか
- 開口部の処理:換気口・排水・設備開口をどう扱ったか
- 未達時対応:漏気箇所の探索、補修、再測定を行うか
- 契約との関係:自邸の目標値・上限値が仕様書や契約書に入るか
中間測定は漏気箇所を直しやすく、完成に近い測定は最終状態を確認しやすい。可能なら中間で補修し、完成前にも確認する二段階が分かりやすいですが、合理的な時点は工法によっても変わります。最重要なのは、測定時点と未達時対応を契約前に書面で確認することです。
高断熱住宅の換気は「第一種なら安心」ではない
国土交通省の設計ガイドは、換気による熱損失を減らすため、断熱性の高い家では熱交換型の第一種換気が望ましく、高温多湿地域では全熱交換型が適すると整理しています。
ただし「第一種」という方式名だけでは判断できません。熱交換率の試験条件、冬の凍結対策、夏の湿気交換、ダクトの清掃性、フィルター費用、個室ドアを閉めたときの空気経路、風量測定の有無まで確認したいところです。第三種換気でも、地域・間取り・気密・空調計画に合えば成立します。方式名ではなく、必要換気量を確保しながら温度と湿度をどう管理するかで比較しましょう。
断熱等級6と7は、どちらを選ぶべき?
全員に等級7が正解とは限りませんし、温暖地だから等級6で十分とも一律には言えません。以下は法的基準ではなく、候補を絞るための編集上の判断軸です。
| 条件 | 比較の中心 |
|---|---|
| 寒冷地、全館連続暖房をしたい、在宅時間が長い | 等級7やHEAT20 G2・G3水準まで含め、暖房負荷と最低室温のシナリオを比較 |
| 5〜7地域で全館を長時間冷暖房したい | 等級6案と7案の両見積もりを取り、追加費用と年間負荷計算を比較 |
| 温暖地で大開口・西日・吹き抜けがある | 等級よりηAC、外部遮蔽、窓の方位、冷房・除湿計画を優先確認 |
| 予算が限られる | 等級を1段上げる前に、窓・方位別遮蔽・気密測定・空調計画へ配分した方が合理的な場合もある |
| 将来の売却時の説明を重視 | 等級の高さだけでなく、外皮計算書・BELS・住宅性能評価書を残せるかを確認 |
「元が取れるか」の計算も、今の一部屋暖房をそのまま続ける前提だけでは不十分です。HEAT20は、地域・所定条件によっては、G2水準なら基準的な住宅の居室暖房と同程度の負荷で全館連続暖房が可能になるシナリオを示しています。つまり高断熱化で得るものは電気代の削減だけでなく、同じ程度の負荷で暖める範囲を広げる選択肢でもあります。
国の設計ガイドも、等級6・7の効果をUA値だけでなく、暖房期の最低室温や寒い場所の面積が減るというシナリオで説明しています。国が支援した調査では、室温や部屋間の温度差と血圧などの健康指標との関連も報告されています(特定の等級を選べば病気を防げる、という意味ではありません)。
「高断熱なら夏もエアコン不要」は言い過ぎ
旧版のこの記事は「断熱性が高ければ夏の寝苦しさとも無縁」と書いていましたが、これは、はっきり言って言い過ぎでした。
高断熱住宅は、冷房でつくった涼しさを保ちやすい家です。しかし、冷房そのものが不要になるとは限りません。日射、人、家電、調理から出た熱は家の中にたまり、湿度も断熱材だけでは下がりません。むしろ高断熱住宅ほど、夏の日射を窓の外で遮る、必要な冷房能力を計算する、除湿方法を決める、24時間換気を正しく動かす、といった設計が大切になります。
「エアコンを使わなくてよい家」ではなく、小さな冷暖房エネルギーで快適な状態を維持しやすい家と考えるのが正確です。
契約後にカタログ性能を守る4つの書類
営業担当者の説明だけでなく、次の書類を役割別にそろえると、性能の確認精度が上がります。
| 書類 | 分かること | 分からないこと・注意 |
|---|---|---|
| 外皮性能計算書 | 自邸のUA値、ηAC値、部位・窓仕様 | 施工後の隙間や断熱欠損までは確認できない |
| BELS評価書・省エネ性能ラベル | 省エネ性能を第三者評価等で比較しやすい | 主に図面・計算書の評価。完成時C値の証明ではない |
| 設計・建設住宅性能評価書 | 設計評価は図面、建設評価は工事・完成段階を登録機関が確認 | 取得範囲と契約書への添付を確認 |
| 気密測定報告書 | 測定時点のC値と測定条件 | 断熱材や日射・空調計画そのものは評価しない |
住宅性能評価・表示協会によると、新築住宅で住宅性能評価書またはその写しを契約書に添付・交付した場合、反対の意思表示がなければ、表示された性能を持つ住宅の建設・引き渡しが原則として契約内容とみなされます。契約実務は案件ごとに異なるためこの記事は法的助言ではありませんが、「等級7対応です」という口頭説明より、自邸の数値・評価書・未達時対応を書面に落とす方が確実です。
高断熱住宅は将来高く売れる?
現時点で「断熱等級7なら中古価格が必ず何%高くなる」と言える公的な共通データは確認できません。
一方、2024年4月から新築の販売・賃貸広告で省エネ性能ラベルの表示制度が始まり、断熱性能を買主・借主が比較しやすい環境は整いつつあります。高性能化の費用がそのまま売却価格に上乗せされる保証はありませんが、自邸の計算書・評価書・測定報告書を保管しておくことには意味があります。
高断熱の家に住んで分かったこと
ロシアで住んだカナダ製の家でも、一条工務店で建てた今の家でも、印象に残るのは「暖かい」と何度も感じることではありません。暑さや寒さを意識する場面そのものが減ることです。
逆に、冒頭で書いた「室温23℃なのに床16℃」の家のように、暖房で空気だけ暖めても、床・壁・窓の表面が冷たいと不快感は消えません(あれは一回の測定で、すべての住宅に当てはまるデータではありませんが)。室温だけでなく、表面温度と部屋間の温度差が大切なんです。
だからメーカー選びでも、カタログの最高値より家全体で性能が出やすい仕組み——標準仕様の範囲、全棟測定、窓と空調の設計——を重視した方がよいと思っています。
契約前にハウスメーカーへ確認する12項目
- この見積もりの商品は断熱等級いくつか
- 私の間取りのUA値とηAC値はいくつか
- その数値は標準仕様か、オプション込みか
- 窓・玄関ドアのU値、ガラスの日射取得率、方位別の外部遮蔽はどうなるか
- 暖房期・冷房期の負荷計算と、想定エアコン能力・台数はあるか
- 換気方式、熱交換率、風量測定、フィルター・ダクトの清掃方法はどうなるか
- 夏の除湿と中間期の排熱をどう設計するか
- C値は全棟で測定するか。中間・完成前・完成時のどの時点か
- C値は平均値・目標値・上限値・保証値のどれか
- 目標未達の場合、補修・再測定をするか
- 外皮計算書、一次エネルギー計算、気密測定報告書を受け取れるか
- BELS、設計・建設住宅性能評価をどこまで取得し、契約書へ添付するか
営業担当者がその場で答えられなくても問題ありません。設計・技術担当者に確認して、書面で回答してもらうことをおすすめします。
過去のランキング値はどう見る?
旧版のこの記事には、2016〜2018年ごろの商品性能値や価格を載せていました。当時の住宅業界の水準を知る資料としては価値がありますが、現在のランキングには使えません。更新日だけ新しくして古い商品の値を現行値のように残すと、読者を誤解させます。以下は「当時の記録」として分けて残します。
旧版から引き継ぐ過去データ(クリックで開く)
一条工務店 旧i-series II:Q値0.51、UA値0.28(C値0.59は現行公式にも平均実測値として掲載)。スウェーデンハウス2016年度平均:Q値1.32、UA値0.42、C値0.62。土屋ホーム旧値UA0.25、ヤマト住建旧エネージュUW UA0.27、泉北ホーム旧値UA0.39、住友林業旧PROUDIO UA0.32/0.41、ミサワホーム旧値UA0.43、セキスイハイム旧値UA0.46などは、いずれも現行商品値としては使用しません。
アイフルホームは2017年当時、セシボ極・零・爽の3商品でした。当時の公表値と参考価格は次のとおりです(現行商品はFAVOシリーズに移行しています)。

| 2017年当時 | セシボ極 | セシボ零 | セシボ爽 |
|---|---|---|---|
| UA値 | 0.30 | 0.52 | 0.69 |
| C値 | 0.61 | 0.61 | - |
| 40坪参考価格(税込・当時) | 2,074万円 | 1,792万円 | 1,287万円 |
東急ホームズ ミルクリーク(2×6 POWER FRAME、Q値1.06・プランS151試算)、ジューテックホーム(0エネプラン UA0.41・Q0.96・C0.4)、小林住宅(UA0.4・C0.28)も当時紹介していました。いずれも現行の商品・体制は再確認が必要です。

2017年の北海道の施工棟数も、断熱性能とは別指標ながら参考資料として残します。寒冷地で選ばれているメーカーを知る手がかりにはなります。
| 順位 | 施工者 | 2017年戸数 | 2016年戸数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 一条工務店(浜松) | 525 | 352 |
| 2 | 北海道セキスイハイム(札幌) | 513 | 516 |
| 3 | ミサワホーム北海道(札幌) | 348 | 328 |
| 4 | 豊栄建設(札幌) | 323 | 204 |
| 5 | 土屋ホーム(札幌) | 288 | 285 |
| 6 | ジョンソンホームズ | 272 | 264 |
| 7 | ロゴスホーム(帯広) | 244 | 197 |
| 8 | 日本ハウスホールディングス(盛岡) | 162 | 165 |
| 9 | タマホーム(東京) | 165 | 129 |
| 10 | スウェーデンハウス(東京) | 160 | 172 |
| 11 | ecoaハウス(千歳) | 121 | 97 |
| 12 | 住友林業(東京) | 115 | 115 |
| 13 | ホーム企画センター(札幌) | 114 | 107 |
| 14 | コスモ建設(札幌) | 89 | 120 |
| 15 | 住研ハウス(苫小牧) | 88 | 92 |
| 16 | ジョイフルホーム(旭川) | 86 | 67 |
| 17 | アートホーム(北見) | 82 | 84 |
| 18 | 住まいのクワザワ(札幌) | 81 | 95 |
| 19 | アーキテックプランニング | 77 | 49 |
| 20 | 三井ホーム北海道(札幌) | 76 | 76 |
スウェーデンハウス関連の小ネタとして、北海道の分譲住宅街スウェーデンヒルズと、冬に開かれる北海道の氷のホテル Ice Hills Hotelの記事も残しておきます。
一条工務店の紹介制度について
一条工務店を候補に入れている場合、展示場へ行く前に紹介制度の条件を確認しておくと安心です。展示場で先に登録されると、知人紹介による割引が受けられなくなるためです。制度や特典は時期・条件で変わるため、このランキング記事では詳しく扱いません。
よくある質問
断熱性が一番高いハウスメーカーはどこですか?
一つには決められません。公表値には商品の上限値、平均実測値、モデルプラン値、過年度値が混在しており、同じ種類の数値でそろえないと順位にできないためです。総合的な選びやすさでは一条工務店とアイ工務店、数値基準と測定工程の明確さではAsu-haus、平均値の開示ではウェルネストホームに強みがあります。
断熱等級7に対応するハウスメーカーはどこですか?
2026年8月時点の公式情報で確認できた範囲では、一条工務店の対象主力商品、土屋ホームBES-T019、Asu-haus、ヤマト住建エネージュG3+、スウェーデンハウスの強化断熱仕様、日本ハウスHDの一部グレード、アキュラホーム「超断熱の家」、タマホーム「笑顔の家」、三井ホームMOCX THERMO(5〜7地域)、アイフルホームFAVO PREMIUMなどがあります。ただし全商品・全地域が等級7とは限らないため、自分のプランの等級とUA値を確認してください。
アイ工務店は高断熱ですか?
高断熱・高気密の有力候補です。公式情報でN-eesのUA値0.28以下、全棟気密測定、約束値C値0.5以下、平均C値0.32を確認できます。ただし5〜7地域の断熱等級7基準はUA値0.26以下のため、UA値0.28は等級7ではなく等級6の範囲です。自分のプランの数値を確認しましょう。
大手ハウスメーカーはなぜ上位に少ないのですか?
性能が低いからとは限りません。積水ハウス、住友林業、ダイワハウスなどは商品・地域・プランの幅が広く、会社全体を一つの固定UA値・C値で示していない場合が多いためです。数値ランキングでは不利になりますが、候補から外すのではなく、自分の見積もりプランのUA値と標準仕様で比較するのが正確です。
UA値とC値はどちらが大切ですか?
両方です。UA値は設計上の断熱性能を示す計算値、C値は実際に建てた家の気密性能を示す実測値です。UA値だけ良くても、すき間が多ければ換気や空調が計画どおりに働きにくくなります。
C値はいくつなら高気密ですか?
国の現行の住宅性能表示制度には全国一律のC値基準がないため、「何以下なら絶対に安心」とは言い切れません。国土交通省の設計ガイドはHEAT20が目安とするC値0.7±0.2を紹介しています。数字そのものより、全棟測定か、いつ測るか、未達なら補修・再測定するかを確認してください。
断熱等級7なら夏もエアコンは不要ですか?
不要とは言えません。高断熱住宅は外の熱を入りにくくすると同時に、日射や生活で発生した熱を逃がしにくくします。日射遮蔽、冷房、除湿、換気の計画が必要で、「エアコン不要」ではなく「小さな冷暖房エネルギーで快適を維持しやすい」と考えるのが正確です。
40坪の高断熱住宅は、外構込みでいくら必要ですか?
今回調べた主要29社の公開情報をもとにした編集部試算では、土地代を除きおおむね3,200万〜9,300万円が資金計画上の幅です。全国系・高性能系メーカーの中心帯は4,000万〜6,500万円前後で、大手の高仕様や全館空調、太陽光、都市部施工を選ぶと7,000万円を超えることがあります。
Q値はUA値に換算できますか?
一律には換算できません。Q値は換気を含む熱損失を床面積で割った旧指標、UA値は換気を除く外皮の熱損失を外皮面積で割った現行指標で、分子・分母の両方が異なるためです。旧商品のQ値は過去の比較には使えますが、現行のUA値ランキングに混ぜない方が安全です。
高断熱住宅は中古で高く売れますか?
必ず高く売れると言える公的な共通データは確認できません。ただし2024年4月に始まった省エネ性能ラベルの表示制度により、買主が断熱性能を比較しやすい環境は整いつつあります。外皮計算書や住宅性能評価書、気密測定報告書を保管しておく価値はあります。
住宅展示場に行く前に:資料請求で候補を絞る
展示場で各社を回るのは、1社1時間としてもかなり大変です。事前にカタログを取り寄せて目星をつけ、聞きたいことを整理してから行くのが効率的です。上の「契約前に確認する12項目」を持参して聞くのもおすすめです。資料請求はどこも無料です。
一括請求はカバーされていない会社があるため、私は一括請求と個別請求を組み合わせました。
- 大手27社の一括請求:積水ハウス・ダイワハウス・ミサワホーム等 大手ハウスメーカー27社 一括資料請求
- 一括請求に入っていない会社の個別請求:一条工務店・スウェーデンハウスの資料請求 LIFULL HOME'S 注文住宅
- 個別:泉北ホームの商品詳細・建築実例/セキスイハイムの商品詳細
/アイフルホームの商品詳細・建築実例
もっと勉強したい人へ
高断熱・高気密の家についてさらに学びたい方には、断熱について積極的に発信している松尾設計室・松尾和也さんの記事と動画がおすすめです。私も家づくり前にずいぶん勉強させてもらいました。
- まずは日本の住宅業界のおかしさを知っておこう(松尾和也さん)
- 自然通風で快適な日は、年に3日しかない!?(松尾和也さん)
- エアコンは6、10、14畳用しか買ってはいけない!?(松尾設計室・動画)
- 松尾設計室の規格住宅 全国版 MSDG
予算が許せば、高断熱・高気密に強い建築家に設計を依頼する選択肢もあります。建築家による高断熱高気密な注文住宅で紹介しています。
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出典(2026年8月17日確認)
国土交通省「省エネ基準引き上げへ」 https://www.mlit.go.jp/shoene-jutaku/ / 国土交通省「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001884522.pdf / 国土交通省「住宅内の温熱環境と健康の関連」 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001323205.pdf / 国土交通省「Q値からUA値への省エネ基準改正資料」 https://www.mlit.go.jp/common/001012880.pdf / 国土交通省「省エネ性能表示制度」 https://www.mlit.go.jp/shoene-label/ / HEAT20「住宅シナリオとG1〜G3・G-A/G-B」 https://www.heat20.jp/grade/ / 建築研究所「外皮平均熱貫流率の計算方法」 https://www.kenken.go.jp/becc/documents/house/Manual_HeatLoss_20130712.pdf / 住宅性能評価・表示協会「BELS」「住宅性能表示制度」 https://www.hyoukakyoukai.or.jp/ / 一条工務店「断熱等級7標準化のお知らせ」 https://www.ichijo.co.jp/topics/260403/ / 一条工務店「高気密構造」 https://www.ichijo.co.jp/technology/element/airproof/ / アイ工務店 公式(地域公式ページ含む) https://www.ai-koumuten.co.jp/ / ウェルネストホーム https://wellnesthome.jp/ / 土屋ホーム(性能ページ・2026年1月プレスリリース) https://www.tsuchiyahome.jp/ / 旭化成ホームズ Asu-haus https://www.asahi-kasei.co.jp/asu/ / ヤマト住建 エネージュG3+ https://www.yamatojk.co.jp/cyumon/ene_ju_g/performance / スウェーデンハウス https://www.swedenhouse.co.jp/ / 日本ハウスHD 2025年商品資料 https://www.nihonhouse-hd.co.jp/pdf/newsrelease/20250501.pdf / アキュラホーム https://www.aqura.co.jp/insulation/ / タマホーム「笑顔の家」 https://www.tamahome.jp/egao/ / 泉北ホーム https://www.senbokuhome.co.jp/technology/details_2.html / セルコホーム https://selcohome.jp/spec/energy.html / クレバリーホーム https://www.cleverlyhome.com/technology/kimitsu-dannetu/ / 桧家住宅 https://www.hinokiya.jp/tecnology/dannetsu/ / 三井ホーム MOCX THERMO https://www.mitsuihome.co.jp/home/technology/mocxthermo/ / ミサワホーム https://www.misawa.co.jp/kodate/guide/dannetsu/ / 住友不動産 2024年発表資料 https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/20240130_release_Insulation-performance-grade7_j-urban-1.pdf / パナソニック ホームズ 2024年・2026年リリース https://homes.panasonic.com/company/news/ / ダイワハウス https://www.daiwahouse.co.jp/jutaku/feature/indextech/technology/lp/grade6/ / セキスイハイム https://www.sekisuiheim.com/appeal/airtight.html / 積水ハウス https://www.sekisuihouse.co.jp/kodate/spec/technology/comfortability/ / ヘーベルハウス https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/column/energy-conservation/ / ユニバーサルホーム https://www.universalhome.co.jp/numbers/ / アエラホーム https://aerahome.com/commitment/comfort/ / 住友林業 https://sfc.jp/ie/technology/dannetsu/ / アイフルホーム FAVO PREMIUM https://www.eyefulhome.jp/concept/favopremium/ / 予算試算の参考:HOME4U・家語・住宅情報メディア各社の公開坪単価・総額事例(編集部試算C)