小さい家で質の高いおおらかな生活を提唱する伊礼智さん。超人気の住宅設計者です。伊礼智さんの著書は何冊も出ていますが、一番人気の「伊礼智の「小さな家」70のレシピ」と「伊礼智の住宅設計」を読んだ感想です。「伊礼智の住宅設計」は図面がたくさん載っていてプロ向け、建築を仕事にしていない一般の人が読むなら、まずは「伊礼智の「小さな家」70のレシピ」から読むことをお勧めします。
目次
伊礼智さん
「東京町屋・9坪の家」で有名な伊礼智さん。建坪9坪の家や7.5坪の家など狭小住宅も得意とされています。家伊礼智さんの家の特長は、木のぬくもりが感じられる温かみがあるけれど、シンプルなデザイン、細かいディテイルまで行き届いた気配り。といったところでしょうか。
人気の理由は実際の広さよりも奥行きを感じさせる工夫もあります。
伊礼智さんは、1959年沖縄県生まれ。’82年琉球大学理工学部建設工学科計画研究室卒業。東京藝術大学美術学部建築科大学院(奥村昭雄研究室)へ進学。’85年同大学院修了。
沖縄生まれらしく、沖縄の家をモチーフにしたバルコニーなども登場します。
2001年、分譲住宅「ソーラータウン久米川」、建築面積9坪、延床面積18坪の「東京町屋・9坪の家」とか有名作多数。
伊礼智さん本のお勧め
伊礼智さんの本んを読んでみようと思う方は、「伊礼智の「小さな家」70のレシピ」をとりあえず読んでおくことをお勧めします。家づくりのヒントが70のテーマごとに分かれていて、好きなところからパラパラと呼んでみるだけでも大分勉強になります。
伊礼智の「小さな家」70のレシピ
伊礼智の住宅設計
伊礼智さんのノウハウ絶賛公開中。
2014年グッドデザイン賞を受賞した「守谷の家」の使用図面116点を完全収録!!!
「伊礼智の住宅設計」は、住宅関連のお仕事をされている方向け。大判で図面もたくさん掲載されているので、ここまで公開していいの?と思ってしまう程です。
プロ向けですが、一般人にもわかりや易く書いてあるので普通に読むことも出来ます。
わたしは素人ですが、家づくりを行う上で、照明図面とか、いろいろと参考になりました。
例えば、照明計画で悩んだ時、キッチンの高さやレンジフードで悩んだ時、伊礼智さんはどうしたんだろう?と参考になりました。
伊礼智さんの照明論
伊礼智さんの設計する家は目線の重心を下げることを狙っていていろんな工夫を行っています。
照明の重心を低くすることもその一つ。
天井には照明をなるべくつけません。
安易に天井に照明をつけると重心が高く落ち着きのない明りにつながるとのことで、低め低めに重心を集めます。
そのコツが、ペンダントをつるす、フロアスタンド、壁にブラケットをつかうことの3点。
「必要なのはあかりであって、照明器具ではない」というのは伊礼智さんの先生である吉村順三さんの言葉を引用しつつ、照明は何も考えなければ安易に天井につけてしまうが、落ち着きのない明りにつながってしまうと。
ダウンライトを多用したオフィスのようなまぶしいあかりはUFOのような家とも。
確かに。。
ハウスメーカーで家を建てると気を付けないと天井に穴がボコボコ開いた家になっていしまいます。
【間接照明おおめ】一条工務店の照明 LEDキャンペーン利用か社外品か
定番照明
伊礼智さんが使う照明は定番のモデルがあります。
ペンダントライトは、ルイスポールセンの白のトルボー。
フロアスタンドやデスクスタンドは、建築家アーネ・ヤコブセンデザインのこれまたルイスポールセン AJフロアランプ。
確かにこれがおいてあるだけで大分部屋がオシャレに見える気もします。
その他、イサムノグチのあかりや、ヤマギワの照明等。
AJランプ
ダイニングテーブル
着席する人数が増えてもある程度デッドスペースを吸収できる、みんなの顔がみれる、集まっている感があることからダイニングテーブルは丸テーブルをよく使っているとのこと。
伊礼智さんがよく使うランドテーブルは、建築家の奥村昭雄さんが設計したカイアール(旧:木曽三岳奥村設計所)の「ラウンドテーブル」(ナラ)か、小泉誠の「MAYテーブル」(ブナ)が良く選ばれています。
こちらの4人掛けのテーブルは直径1350mmだそう。
カイアール(旧:木曽三岳奥村設計所)の「ラウンドテーブル」(ナラ)
伊礼智さん自身もラウンドテーブルをデザインされています。
ラウンドタイプのダイニングテーブルに必要な大きさはこちらのwebページが参考になります。
ダイニングテーブル必要な直径
2人:直径70cm~
3人:直径90cm~
4人:直径100cm~
5人:直径120cm~椅子を置くのに必要なスペースは、天板の縁から60cm
(直径110cm+椅子60cm+椅子60cm)÷ √2 ≒ 162cm角のスペースに収まりました!
伊礼流 デッキテラス・バルコニー術
外部空間をどこまで内部に取り込めるか、楽しめるかが、住宅の豊かさ・心地よさに大きく影響。
内でもない、外でもない、空間領域。
奥行きはできれば1間(1820mm)は欲しい。
室内の床から300mm程度上げた位置にデッキレベルを設けるのが伊礼智さんの定番。
フラットバルコニーにするのはいろいろと制約がありますが、これなら汎用的に出来そうで、リフォームでも対応できそうです。
デッキは、米杉の2×6を無塗装。粗相しないのははだしのままでも使えるようにとの思いからだとか。こだわりを感じますね。
線をなくす
線をなくすことですっきりさせる。
建具を天井まで伸ばして袖壁という余計な線を作らない。
具体定期には、廻り縁や幅木をなくしたり目立たなくする。
そのための工夫も書籍に掲載。
玄関はコンパクトに
玄関はコンパクトに、その分リビングを広く!
というのが伊礼智さんの主張。
建坪30坪の住宅では、1坪の玄関があれば十分ですね。
狭い玄関でいい!広い玄関でないとダメ?【1820 2275 2730幅別 実例集】 2マス幅と2.5マス幅 3マス幅の玄関
本を読んだ感想
標準化は、他の仕事にも通じると思う。
パーツ、パーツで型を作っておいて、必要に応じてアレンジしていく形。
本当は、こういうのは、大手のハウスメーカーがお金をかけてやるべきものなんじゃないかな。
天井を低めに、というのは、正直ちょっとどうかと思いましたが、天井が低い部分と吹き抜け部分でメリハリをつけるというのは、なるほどな、と思います。
伊礼智設計住宅を建てたことがある工務店
伊礼智さんの書籍やブログで紹介されている工務店。
相羽建設 東京都東村山市
代表作の一つ、9坪の家を建てた工務店。
ホームページでも大々的に紹介されています。
ムカデ収納は確かに便利かも。(笑)
https://aibaeco.co.jp/100story/life/life-2166/
田中工務店 東京都江戸川区
狭小地、準耐火、木造住宅階建てを得意とする工務店。
「伊礼智の住宅設計」でも特集ページが掲載されています。
現在の社長田中健司氏は3代目。
公式Webページには作例も多数。
https://www.tanaka-kinoie.co.jp/
ムカデ収納とか楽しい工夫もいっぱいです。
ヤマヒロ 兵庫県
こちらの社長三渡 眞介氏も三代目。
柴木材店 茨城県下妻市
2013年度グッドデザイン賞を受賞したi-works 1.0を建築した工務店。
Webページも豊富な写真の他、i-works 1.0のWeb展示場もあります。
i-works 1.0のYoutubeのルームツアーは必見!!
伊礼智さんの細かい気づかいを解説してもらえます。
YouTube動画は画面がグラグラしていたり変なところで切れたりそういった動画も多いのですが、この動画は本当に見やすい。
伊礼智さん関連のYouTubeで一番見やすくて、解説もいい動画だと思います。
2倍速でみると、さっと見れるので、本当に見てください。
買い物から帰ってくる→冷蔵庫に物を入れる→冷蔵庫から野菜を出すといった動線の解説もお見事!
薪ストーブはいいなぁ。
テーブルの高さは68cmと低め。普段IKEAで売っているものは72cmです。
Web展示場
https://spacely.co.jp/shibamokuzai/project_347480
i-Worksの価格
i-Worksの価格は工務店、地域によって異なるようですが、外構含めて2340万円と紹介しています。
伊礼智さんブログ・書籍
ブログ
伊礼智さんはブログをやってらっしゃいます。
作例も見ることが出来るので、眺めているだけで楽しいです。
Twitterも。
ブログより更新頻度は多いみたいです。
書籍
書籍に詳細な図面や注意点などいろいろまとまって書いてあります。
2019年11月発行の比較的新しい書籍です。
狭小住宅関連
【3m/4m!】狭小間口 お勧めハウスメーカー予算と間取りと実例
【実例集】3640幅と3185幅のリビングルーム 4マスと3マス