「人生で最も大きな買い物」と言われるのが住宅購入です。住宅の購入と切っても切れないのが住宅ローン。子供の学費や生活費の為に少しでも金利を低く抑えて、住宅ローンの支払金額を少しでも抑えたいと思う方が多いのではないでしょうか?住宅ローンの支払い金額の削減には効果的な住宅ローンの金利交渉が必要です。今回は、元銀行員の方に、住宅ローンの金利を抑える手段の一つである「金利交渉」の手順やコツについて聞いてきましたので、徹底的に解説します!
目次
住宅ローンの金利交渉とは
金利交渉とは、文字通り金融機関と交渉して、ローンの金利を下げてもらうことです。
住宅を購入する際は金融機関で住宅ローンを組むのが一般的。
住宅ローンの金利は各金融機関のHPやチラシに記載されていますが、お客様の属性や審査内容によって、通常の店頭表示金利よりも更に低い優遇金利が適用されるのが普通です。
優遇金利の条件としては、
- その銀行を給与振り込み口座にする
- 口座振替の指定口座にする(公共料金の支払いなど)
- その銀行が提携するクレカをつくる
- 銀行のカードローンに申し込む
などがあります。金融機関によって条件は異なりますが、すべての条件を満たすことで、店頭金利から最大で1.6~1.8%ほど優遇されることもあります。
しかし、事前審査の条件次第では、これら公表金利(店頭金利、優遇金利)よりも更に低金利で借りる事ができる可能性もあります。
例えば、他行と競わせることで、0.3%の金利の値下げに成功したという人もいます。
金利の値下げを受けるには、金融機関との金利交渉が必要になってくるのです。
こんなに違う!金利交渉の必要性
「たかが数%の為にわざわざ交渉なんて…」と思われるかもしれません。しかし大金を扱う住宅ローンでは、たった0.1%の金利差で大きく返済額が変わります。
例えば
借入金額 4000万円
固定金利 1.5%
借入期間 35年
返済方法 元利均等返済
という設定で返済額を計算すると
月の支払は12万2473円
年間では146万9676円
返済総額は5143万8816円
ということになります。
しかし、もし同条件で金利が1.4%だと仮定すると
月の支払いは12万523円
年間では144万6276円
返済総額は5061万9853円
になります。
返済総額の差は5143万8816円-5061万9853円=81万8963円。
たった0.1%金利を引き下げてもらうだけでも、80万円以上の差が出てくるのです。
うまい棒が8万本買えるんです。(笑)
金融機関では商品がパッケージ化されており、お客様の属性や条件によって、適用される金利は決まってしまいます。しかし、可能性は0ではありません。少ない可能性に賭けて金利交渉をしてみる価値は十分すぎるほどあると言えるでしょう。
金利交渉の手順とコツ
しっかりと効果的な手順を踏むことで、少しでも交渉の成功率を上げていきましょう。
どの金融機関?
大前提として、ネット銀行では金利交渉はできません。
ネット銀行では対人での交渉の余地を省き、機械的に金利、条件を判断するからです。またネット銀行は住宅ローン後発の為、都銀や地銀に比べると金利が低く設定されていますが、物件明細書の発行依頼や謄本の取得など、お客様自身の負担が多くなってしまうという欠点があります。
金利交渉をするのであれば、都銀や地銀、信金などから選ぶのが前提です。
各金融機関のスペック比較
金利交渉の準備段階で不可欠なのが「他行とのスペック比較」です。
スペックとは、まず金利、そして、団体信用生命保険の保障内容、借り入れ条件、繰り上げ返済の手数料などがあげられます。
中でも大切なのは金利になりますが、金融機関を相手に「具体的な相場はわからないけど、めっちゃ下げてほしい!」と言っても苦笑されて終わってしまいます。
金融機関との金利交渉では、「他の銀行と検討しているけれど、あちらの方が金利が低いので、同じだけ下げてもらえたら是非契約したい」と相談するのが一般的です。
したがって、金利交渉の前に、他行での住宅ローン金利をしっかり調べて比較対象として使えるように準備しておく必要があります。
実際に適用される金利を知るためには、銀行の事前審査を受けなければなりません。
競合させる銀行の事前審査をいくつか受け、適用される金利を確認したうえで、金利交渉に臨みます。
金利以外のスペックも確認しておきましょう。
特に団体信用生命保険の保障内容や借り入れ条件、繰り上げ返済の手数料なども交渉の材料として使えます。
「他行の事前審査結果では、団信の保障内容がこちらの銀行より充実しておりまして…金利を少し下げていただければこちらに決めようと思うのですが」と交渉することができます。
不動産業者に相談
複数の金融機関で事前審査を受け、適用条件を確認したら、いよいよ交渉にはいります。
しかし新規で住宅ローンを組む場合、お客様自身が一人で金融機関と交渉することはまずありません。
基本的には利用する不動産業者やハウスメーカーが代わりに交渉、もしくはお客様の立ち合いのもと交渉してくれます。
彼らは交渉のプロでもあるので、金利交渉しやすい、あるいは審査の通りやすい銀行をよく知っています。ハウスメーカーによっては、優遇が受けられる提携の金融機関がある場合もあります。
不動産業者にとっても無事お客様に融資がおりて、物件を購入していただかないと利益がでないので、より好条件で住宅ローンを組めるよう尽力してくれます。
銀行と交渉する前に、不動産業者に事前審査の結果を伝え、金利の引き下げに役立ててもらいましょう。
金融機関と金利交渉!成功率を高めるコツは
本命の銀行は最後に交渉
さて、事前審査が終わったら、いよいよ金融機関との交渉になります。
先ほど述べたように、金融機関との交渉では他行で適用される金利と比較して、もっと下げてほしいと頼むのがセオリーです。
ですから、本命の金融機関と交渉する前に、他の銀行の事前審査でより低い金利を提示されていることが前提になります。
故に本命の銀行と交渉するのは最後にするのがベストでしょう。
同じタイプの銀行3行と比較する
他行と比較するときに気をつけたいのは「同じタイプの金融機関と比較する」ということです。
ネット銀行の住宅ローン金利は基本的に都銀や地銀よりも低く設定されています。低金利に設定することで、交渉の余地をなくし、機械的に審査を行っているからです。
ですから、「ネット銀行の金利はもっと低いから、おたくの銀行にも同じように金利をさげてもらいたい」と交渉しても無理な話なのです。
「ウチは都銀だからネット銀行の金利を持ち出されても困りますよ。」と一蹴されてしまいます。
ですから都銀なら都銀、地銀なら地銀と同じタイプの金融機関を比較対象として使わなければ意味がありません。
事前審査の申し込みは3社ほどがベストだと言われています。
というのも、事前審査の段階で落ちつづけてしまうと、信用度にキズが付く可能性があるからです。
金融機関は事前審査の申し込みを受けると、お客様の情報を信用情報機関に問い合わせます。この時の情報照会履歴は記録に残るものなので、何度も審査に落ちてしまうと、他の銀行からの信用度が落ちてしまい、事前審査すら通過できないということになりかねません。
金融機関によっては、3回以上事前審査に落ちているお客様に対しては全く受け付けないとしているところもあるようです。
本命との交渉前に申し込む事前審査は2~3社がベストだと考えられます。
金利交渉はダメ元でいく
ここまで金利交渉について説明してきましたが、そもそも新規住宅ローンの金利交渉成功率はかなり低いです。
超低金利時代の現代では、そもそも公表金利がかなり低く設定されているので、交渉で下げてもらう余地があまりありません。
優遇金利もマニュアル化されており、お客様の属性や条件によって極めてシステマティックに、公平に決められています。
くわえて現代は超ネット社会です。一部の顧客に、規定外の優遇を行ったとなれば、すぐに口コミは拡散し、銀行の信用失墜につながりかねません。
こういった事情から、そもそも金融機関を相手にする金利交渉は成功率がかなり低いのです。
しかし、銀行が逃したくない大口預金者や、非常に属性の良いお客様の場合は、交渉で金利を引き下げられる可能性があります。
先述したように、住宅ローンではほんの少し金利を引き下げるだけでも返済額が大きく変わります。
ダメ元でも、不動産業者に相談してみる価値は十分にあるのではないでしょうか。
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