一条工務店のHUGme(ハグミー)は、自由設計ではなく、設計士があらかじめ用意した100通りの間取りから選ぶ商品です。
100プランと聞くと選び放題に思えますが、公式サイトを開いて一つずつ眺め始めると、かなり大変です。30坪くらいならどれなのか、4人家族なら3LDKと4LDKのどちらなのか、平屋は何種類あるのか、南道路と北道路で選べる間取りは違うのか、ウォークインクローゼット付きは少ないのか。見ているうちに、どこから手を付ければよいのか分からなくなります。
そこで2026年9月時点で公式サイトから検索できるHUGmeの間取りを全件書き出し、階数・坪数・部屋数・道路方向・収納・吹き抜けといった条件別に集計しました。
結論:HUGmeは「100から選ぶ」のではなく「条件で削る」住宅
集計して分かったのは、HUGmeは100種類から好きな家を選ぶ商品というより、次の順番で候補を減らしていく住宅だということです。
土地条件で大きく絞り、家族人数と坪数でもう一度絞り、最後に好みの設備で選ぶ。
そして条件を掛け合わせると、候補は想像よりずっと速く減ります。たとえば平屋の4LDKは、現行のWeb掲載プランで3プランしかありません。北道路に限ると、ゼロになります。
数えてみると、HUGmeが想定している「典型的な家」の姿もかなりはっきり見えてきました。
公式は「100プラン」、いま検索できるのは102プラン
最初に、細かいですが押さえておきたい点があります。
HUGmeは公式サイトで「設計士が厳選した謹製100プラン」から選べる商品として案内されています。一方、2026年9月12日時点で公式の検索結果を階数別に数えると、こうなります。
| 分類 | プラン数 |
|---|---|
| 平屋 | 27 |
| 2階建て | 75 |
| 合計 | 102 |
道路方向で数えても東西32+南36+北34=102、坪数帯で数えても20坪台28+30〜34坪50+35坪以上24=102です。掲載プランを1件ずつ突き合わせても102件で、重複はありませんでした。
つまり「一条が100と言っているのに間違っている」という話ではなく、商品名称・訴求としての100プランと、現時点でWebに掲載されている件数は分けて考えたほうがよいということです。一条工務店自身も、改良・廃番により予告なく仕様等を変更する場合があると注記しているので、102という数字も今後変わり得ます。
この記事では、以下すべて「現在公式Webで検索できる102プラン」を対象に集計しています。
HUGme全102プランを集計するとこうなる
まず全体像です。
| 項目 | プラン数 | 102プラン中 |
|---|---|---|
| 平屋 | 27 | 26.5% |
| 2階建て | 75 | 73.5% |
| 20坪台 | 28 | 27.5% |
| 30〜34坪 | 50 | 49.0% |
| 35坪以上 | 24 | 23.5% |
| 2LDK | 5 | 4.9% |
| 3LDK | 54 | 52.9% |
| 4LDK | 43 | 42.2% |
| 東西向き | 32 | 31.4% |
| 南向き | 36 | 35.3% |
| 北向き | 34 | 33.3% |
| シューズクロークあり | 94 | 92.2% |
| ウォークインクローゼットあり | 84 | 82.4% |
| 和室あり | 44 | 43.1% |
| リビング階段あり | 33 | 32.4% |
| 吹き抜けあり | 32 | 31.4% |
| 耐水害仕様 変更可能 | 85 | 83.3% |
この表だけでも、HUGmeの設計思想がかなり見えてきます。
中心は30〜34坪。最も多いのは32坪の14プラン
坪数で分けると、いちばん厚いのは30〜34坪の50プランで、全体の約49%を占めます。20坪台が28プラン、35坪以上が24プランなので、コンパクト・中心・ゆとりがきれいに分かれた構成です。
さらに1坪きざみで数えると、分布の山がはっきりします。
| 施工面積 | プラン数 |
|---|---|
| 22坪 | 3 |
| 23坪 | 3 |
| 25坪 | 1 |
| 26坪 | 4 |
| 27坪 | 6 |
| 28坪 | 3 |
| 29坪 | 8 |
| 30坪 | 4 |
| 31坪 | 8 |
| 32坪 | 14 |
| 33坪 | 12 |
| 34坪 | 12 |
| 35坪 | 10 |
| 36坪 | 10 |
| 37坪 | 4 |
最多は32坪の14プラン、次いで33坪と34坪が12プランずつです。HUGmeは30坪台前半の一般的なファミリー住宅を中心に設計された商品と見ていいと思います。
同じ32坪でも、3LDKか4LDKか、吹き抜けやリビング階段があるか、WICや和室が付くかで中身は変わります。つまりHUGmeの100プランは、100種類のまったく異なる住宅というより、使いやすい坪数と基本形を軸に、動線や収納を変えたバリエーション群という側面があります。
ここを理解すると、100個すべてを見る必要がなくなります。先に自分の坪数帯を決めればよいからです。
3LDKと4LDKで全体の95%。2LDKは5プランだけ
部屋数は3LDKが54プラン、4LDKが43プランです。合わせて97プラン、全体の約95%がこのどちらかに入ります。
2LDKは5プランしかありません。しかもこの5プランは、すべて平屋です。
| プラン | 道路方向 | 坪数 |
|---|---|---|
| E22-4560-0001 | 東西向き | 約22坪 |
| N22-6040-0001 | 北向き | 約22坪 |
| S23-6540-0001 | 南向き | 約23坪 |
| S23-5050-0004 | 南向き | 約23坪 |
| N25-4560-0002 | 北向き | 約25坪 |
夫婦2人でコンパクトな2LDKを探す場合、実質的には100プランも選択肢があるわけではありません。2階建ての2LDKにいたっては1プランもありません。
逆にいえば、3〜5人家族の3LDK・4LDKこそHUGmeの中心市場です。
「子ども2人なら4LDK」とは限らない
夫婦+子ども2人だから4LDK、と考えたくなりますが、そう単純ではありません。主寝室+子ども部屋2室+LDKの3LDKでも4人家族は成立します。4LDKになると、そこに和室や書斎、客間、予備室を足せるという違いです。
全体でも3LDKのほうが4LDKより多いので、HUGmeは4人家族=4LDKを前提に作られた商品ではありません。特に30坪台前半で個室を1つ増やせば、LDK・収納・洗面・各個室のどこかが小さくなります。
「何人家族だから何LDK」ではなく、個室として閉じた4室目が本当に必要かで3LDKと4LDKを選んだほうが、後悔が少ないと思います。
平屋は27プラン。ただし4LDKの平屋は3プランしかない
人気の平屋は27プランで、全体の約26.5%です。残り75プランは2階建てなので、選択肢は2階建ての3分の1強。平屋希望なら最初から27プランの中で勝負すると考えたほうが早いです。
そして平屋を坪数で割ると、かなり偏っています。27プラン中24プランが20坪台で、30坪を超える平屋は3プランしかありません。しかもその3プランが、そのまま平屋の4LDK全部です。
| プラン | 道路方向 | 坪数 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| E30-6055-0001 | 東西向き | 約30坪 | WIC・SIC・和室・耐水害仕様 変更可能 |
| S31-8055-0001 | 南向き | 約31坪 | WIC・SIC・和室・耐水害仕様 変更可能 |
| S33-7555-0001 | 南向き | 約33坪 | WIC・SIC・和室・耐水害仕様 変更可能 |
つまり平屋で4LDKを希望した時点で、候補は3つです。
平屋4LDK+北道路は、現行ゼロ
さらに道路方向を掛けると、こうなります。
- 平屋4LDK × 南向き:2プラン
- 平屋4LDK × 東西向き:1プラン
- 平屋4LDK × 北向き:0プラン
「北道路の土地にHUGmeで4LDKの平屋を建てたい」という希望は、現行のWeb掲載プランでは成立しません。
100プランあると言っても、階数・部屋数・道路方向の3つを指定しただけで候補が消えることがある。これがHUGme選びで最も注意すべき点だと思います。
道路方向は東西32・南36・北34でほぼ均等
ここはHUGmeの良いところです。道路・玄関向きは東西32、南36、北34。南向きばかり大量に作って北向きはおまけ、という構成にはなっていません。
しかも2階建て75プランだけで見ると、東西25・南25・北25と完全に同数です。ばらつきがあるのは平屋(東西7・南11・北9)のほうで、規格住宅として相当意識的に配分していることがうかがえます。
日本の住宅地では道路方向を自分で選べるとは限りません。そこを3群に分けてほぼ均等に用意しているのは、合理的な設計だと思います。
だから、間取りを見る前に敷地を決める
HUGme公式の検索も、条件として道路・玄関向きを用意しています。これは単なる便利機能ではありません。
土地がすでにある人は道路方向から絞る。土地がない人は、欲しいプランに合う土地を探す。どちらにしても、間取りを見る前に敷地条件を確定させるのが順番です。先に「この南向きプランが素敵」と思っても、手持ちの土地に入らなければ意味がありません。
収納はむしろ標準装備。SIC94プラン、WIC84プラン
102プランを集計して、個人的にいちばん意外だったのはここです。
シューズクローク付きは94プラン、全体の約92%あります。感覚としては「シューズクロークがある間取りを探す」ではなく、**「ない8プランを除く」**に近いです。
ウォークインクローゼットも84プラン、約82%。
HUGmeが価格重視の商品だからといって、収納を極端に削ったプランばかりではありません。むしろ玄関収納と大型衣類収納を、現代の住宅に必要な要素として大半のプランに組み込んでいます。プロが考えた間取りを規格化する商品らしい部分だと思います。
和室44・リビング階段33・吹き抜け32
和室ありは44プラン、約43%です。「最近の家は和室なし」というイメージからすると、かなり多く感じます。特に34〜37坪の4LDKでは和室付きが目立ちます。子どもの遊び場、来客、昼寝、将来の1階居室と用途が広いからでしょう。
開放感のほうは、リビング階段が33プラン、吹き抜けが32プランで、どちらも約3分の1です。多数派ではないが珍しくもない、という位置付けになります。両方あるプランは13あります。
同じ32〜34坪の3LDKでも、吹き抜けあり、リビング階段あり、両方あり、どちらもなしが混在します。見た目だけでなく、家具配置、冷暖房、音の伝わり方まで含めて比較したいところです。
耐水害仕様に変更できるのは85プラン
耐水害仕様への変更可能プランは85件、102件中の約83%です。
ただしこれは「85プランが最初から耐水害住宅」という意味ではありません。公式の表記はあくまで「耐水害仕様 変更可能プラン」で、変更できるかどうかを示すものです。標準仕様との価格差や土地条件は個別に確認が必要です。
洪水リスクのある土地を検討しているなら、候補プランを選ぶ段階から見ておく価値があります。
最小22坪から最大37坪。大きい家は守備範囲の外
最小クラスは約22坪です。たとえばS22-4060-0001は延床74.52㎡(22.54坪)、施工面積75.36㎡(22.80坪)の平屋3LDKで、22坪で3LDKが成立しています。別に22坪の2LDKもあります。
上は37坪が4プランで、いずれも4LDKです。つまりHUGmeは、夫婦2人の小さな平屋から35〜37坪の4LDKファミリー住宅までをカバーしています。
裏を返すと、40坪、50坪、二世帯住宅、特殊な間取りはHUGmeの守備範囲から外れます。HUGmeの商品思想は、巨大な注文住宅を安く作ることではなく、日本の一般的なファミリー住宅を、よく使われるサイズに規格化することだと考えたほうが実態に近そうです。
HUGmeの間取りを絞る順番
102プランを全部眺める必要はありません。私なら、この順で絞ります。
- 道路方向
- 平屋か2階建てか
- 必要な部屋数
- 坪数
- 吹き抜け・収納などのこだわり
「南道路、2階建て、4LDK、35坪前後、WICあり」と決めてしまえば、最初から102件を比較する必要がなくなります。逆に「まず素敵な間取りを探そう」から始めると、気に入ってから土地に入らないと分かる可能性があります。HUGmeは自由設計ではないので、土地条件を先に掛けることが特に重要です。
家族構成別の出発点としては、こう考えると探しやすいと思います。
| 家族・希望 | 最初に見るゾーン |
|---|---|
| 夫婦2人 | 22〜25坪・2LDK(5プラン、すべて平屋) |
| 夫婦+子1〜2人 | 26〜32坪・3LDK |
| 夫婦+子2人+予備室 | 30〜36坪・4LDK |
| コンパクトな平屋 | 22〜29坪・2〜3LDK |
| 平屋の4LDK | 30〜33坪・現行3プランのみ(北道路はゼロ) |
| 収納重視 | WIC+SICで絞る |
| 開放感重視 | 吹き抜け・リビング階段で絞る |
これは「この人数ならこの坪数が正解」という意味ではなく、102件を最初に減らすための入口です。
100プランに正解がなければ、無理にHUGmeにしない
ここまで見ると「100もあれば十分では」と思うかもしれません。多くの人には十分だと思います。
HUGmeの弱点は、希望条件を掛け算すると候補が急激に減ることです。平屋・4LDK・北道路のように、3条件でゼロになる組み合わせが実際にあります。そこへ「WICが欲しい」「洗濯動線はこうしたい」「この土地幅に収めたい」を足していけば、候補がなくなることは十分あり得ます。一条工務店自身も、法令や地域などの事情によって選んだプランを建築できない場合があると注記しています。
だから、本当は別の間取りがいいけれど安いからHUGmeにする、という決め方はおすすめしません。HUGmeのメリットは、気に入る規格プランがすでに存在する人に最大化します。
100プランで合わなければ、より多くの規格プランから選べるi-smile。それでも合わなければ、間取りを設計できるi-smile+。この順番で比較していけばよいと思います(取り扱い状況は時期によって変わるため、一条工務店に確認してください)。
土地をまだ買っていない人には、むしろ面白い
ここは発想を逆にできます。
土地が決まっていると「土地 → 入るHUGmeを探す」になりますが、土地探し前なら「好きなHUGmeを選ぶ → その家が入りやすい土地を探す」もできます。これは規格住宅ならではです。
公式のプラン詳細ページには、延床面積・施工面積に加えて建物の間口と奥行きも掲載されています。先ほどのS22-4060-0001なら、奥行7.280m(4.0間)×間口10.920m(6.0間)といった具合です。つまり必要な敷地の目安が先に分かります。
一条工務店に「このプランを建てたいので、無理なく入る土地を探したい」と伝えるほうが、HUGmeの規格化メリットを生かせる可能性があります。
まとめ:102プランを分析して分かったこと
HUGmeの典型像は、集計するとかなりはっきりしています。
30〜34坪/3LDKまたは4LDK/2階建て/シューズクロークあり/WICあり。
一方で、平屋は27プラン、平屋の4LDKは3プラン、北道路の平屋4LDKはゼロ。吹き抜けとリビング階段は約3分の1、和室は4割強。道路方向は東西・南・北がほぼ均等です。
こうして見ると、HUGmeは100種類の家を安く売っている商品ではありません。多くの家庭で使いやすい「定番解」を100前後まで絞り込んだ住宅だと考えると分かりやすいと思います。
だから大事なのは、100という数字そのものではなく、自分の条件を入れた後に何プラン残るかです。土地条件 → 階数 → 部屋数 → 坪数 → 収納・吹き抜けの順に絞って、その中に「このまま建てたい」と思えるプランがあれば、規格化と価格のメリットを素直に享受できます。
なければ、100プランに生活を無理やり合わせない。
「100プランから何とか選ぶ」のではなく、「100プランの中に自分の正解があるかを確認する」。 これがHUGmeの間取り選びで一番大事だと思います。