土地賃貸借契約書(旧法借地権・非堅固建物)の例になります。契約書上の注意点も。
土地賃貸借契約書(旧法借地権・非堅固建物)例
土地賃貸借契約書
賃貸人:XXXX (以下「甲」という)と
賃借人:XXXXX(以下「乙」という)の甲乙間において、次の通り契約を締結した。
第1条 (目的)
甲はその所有する下記に表示する土地(以下「本物件」という)を、旧借地法にもとづき、普通建物所有(非堅固建物)の目的をもって乙に賃貸し、乙はこれを賃借することを約し、所定の賃料を支払うことを約する。
1.土地の所在地 XX区XX六丁目XX番Xの一部及びXX番Xの一部
2.地目 宅地
3.借地面積 194.37m2(58.90坪)
4.住居表示 X区XX六丁目XX番X号
第2条 (賃貸借期間)
賃貸借の期間は、20XX年X月X日から20XX年X月X日までの20年間とする。
第3条 (契約更新および更新料)
契約期間満了時には甲乙協議の上、期間を20年とし契約を更新することができるものとする。乙は更新に際し、更新時点の近隣公示価格、実勢価格等を勘案した 更地価格を参考に、商慣行による更新料を甲に支払うものとする。
第4条 (賃料および支払い方法)
賃料は1か月金XXXXXX円也と し、乙は毎月末日までに翌月分を、甲の指定する口座へ振込にて支払うものとする。その際の手数料は乙の負担とする。また、1か月未満の賃料を清算する必要が生じた場合には日割清算するものとします。
第5条 (賃料の増減)
本契約の賃料が、経済事情の変動、公租公課の増減、近隣の賃料との比較等により不相当となったときは、甲、乙協議の上、契約期間中であっても、賃料を増減することができるものとする。
第6条 (費用負担)
本物件の租税その他の公課は甲の負担とする。但し、給水・下水・ガス・通路・石垣門塀(以下「本物件付属施設」という)等の新設、修理、保全の費用等、本物件使用に伴う一切の費用は乙の負担とする。
第7条 (境界の明示)
本物件における敷地境界を明確にする必要がある場合には、境界石等は甲の施設によるものとする。
第8条 (注意義務)
乙は本物件を善良なる管理者の注意をもって使用し、次の事に注意する。
- 第三者から本物件を侵害されないこと。
- 本物件付属施設及び境界石等を破損しないこと。
- 本物件の境界を乱さないこと。
- 本物件内において、危険・不潔・騒擾その他近隣の迷惑となることを行わないこと。
第9条(共同施設の利用)
乙は、本物件および本物件近隣土地の共同の利便に供される本物件付属施設及び 境界石、街灯等の施設を近隣土地所有者と共同して善良なる管理者の注意を持っ て使用保全し、万一、故障・破損が生じた場合は、近隣土地利用者と共同して修理保全し、その費用を負担する。
第10条 (賃借権譲渡、転貸、建物の改築増築)
乙は次の場合には事前に甲の書面による承諾を受けなければならない。
- 乙が本物件賃借権を譲渡または転貸するとき、その他名目の如何を問わず事実上これらと同様の結果を生ずる行為をするとき。
- 乙が本物件上に所有する建物を改築または増築するとき。
- 本物件付属施設の新設、修理、保全等、本物件使用に伴う一切の工事をするとき。
第11条 (契約の解除)
乙が次の場合に一つに該当したときは、甲は催告をしないで直ちに本契約を解除することができる。
- 3か月以上賃料の支払いを怠ったとき。
- 賃料の支払いをしばしば遅延し、その遅延が本契約における甲と乙との間の信頼関係を著しく害すると認められるとき。
- 乙が第10条の規定に違反したとき。
- 乙が第三者から仮差押・仮処分の執行ないし強制執行をうけ、もしくは本物件上のこの建物につき競売の申し立てを受けたとき、または民事再生、破産の申し立てがあったとき。
- その他本契約に違反したとき。
第12条 (反社会的勢力の排除)
甲または乙の一方が、暴力団、暴力団員、暴力団関係者、暴力団関係団体、暴力 団関係団体の関係者、その他反社会的勢力である場合、または反社会的勢力であ ったことが発覚した場合は、前条の定めにかかわらず、相手方は何らの催告を要 さずして直ちに本契約を解除し、損賠賠償の請求をすることができる。
第13条 (甲の協力義務)
第10条による譲渡等により、乙または第三者が金融機関から融資を受ける場合、甲は、本物件上の建物に対する担保権の設定に必要な金融機関規定の承諾書を、 実印押印、印鑑証明書添付の上発行し、その他の手続きに協力するものとする。
第14条 (合意管轄)
甲及び乙は、本契約に関する一切の紛争について、物件の所在地を管轄する簡易裁判所または地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第15条 (特約事項)
譲渡承諾料は更地価格の壱割とする。
以上、本契約を証するため、本契約書を2通作成し、各自署名捺印のうえ各1通を保管 するものとする。
XX年XX月XX日
(賃貸人) 住所
氏名 XX XX 印
(賃借人) 住所
氏名 XX XXX 印
注意点
借地人がローンをするときの地主の協力義務
借地を使って住宅を建てようとする場合、現金で家を建てる人はマレで、ほとんどの人が住宅ローンを使って建てることになります。
普通の借地契約では、土地に対する登記が出来ないので、建物に対する登記を行いますが、その際にも多くの銀行では、地主の承諾書と地主の捺印、地主の印鑑証明書を要求します。
承諾書には「賃借人の地代の支払い遅延など借地契約解除にあたる行為があったときは、抵当権者へ通知・報告する。銀行は支払いを立てかえることができる」、「銀行の抵当権が実施された際には、地主に対して相応の対価を支払うことで、銀行は借地権を譲渡することができる。」といった内容が記載されています。
これは、銀行側からみて、借家人が債務不履行を起こし、いきなり借地権が解除されてしまい担保としての価値がなくなってしまうことを防ぐための措置ですが、地主の側で承諾書の提出を嫌がる人もいます。
地主が嫌がる理由は、債務不履行を起こした際に、地主のあずかり知らぬ借地人となってしまい、いらぬトラブルに巻き込まれてしまうことを恐れるためです。
転貸
借地の転貸はほとんどの場合できません。
一方で、借地上の建物を賃貸に出すことはできます。
土地賃借人が、借地上の自己所有建物を第三者に賃貸する場合、土地賃貸人である地主の承諾の要否
借地代
固都税の3倍を超えると税務上営利目的とみなされる。
土地の貸し手が宗教法人である場合は、3倍を超えないように設定される。
個人・法人であればこの縛りがないので、場所によってはお寺の倍の賃料を取るところも。
その他参考例
全国借地権協会
ワードファイルでひな形がダウンロードできます。
この契約書は、特約事項に更地価格の計算方法(相続税路線価の80%)、更新料、各種承諾料の算定方法が記載されていてわかりやすいです。
借地承諾料算定例
承諾料種類 | 承諾料 | 承諾料参考目安 |
更新料 | 更地価格の5% | 3~5%程度 |
譲渡承諾料 | 借地権価格の10% | |
建替え承諾料 | 更地価格の3% | 3~5%程度 |
条件変更承諾料 | 非堅固から堅固 更地価格の10% | 7~10%程度 |
担保権設定承諾料 | 設定債権額の1% | 0~1%程度 |
公示価格と相続税路線価・固定資産税路線価の違い
地価公示価格 | 相続税路線価 | 固定資産税路線価 | |
目安 | 100 | 80 | 70 |
決定機関 | 国 (国土交通省土地鑑定委員会) | 国税局・税務署 | 東京都(23区内)・各市町村 |
目的 | 適正な地価の形成 | 相続税算出 | 固定資産税算出 |
価格調査基準日 | 7月1日 | 1月1日時点 | 1月1日時点 |
発表時期 | 毎年3月下旬 | 毎年7月1日 | 原則として毎年3月31日まで |
実勢地価は売主・買主の双方の合意で決まりますが、東京の場合、公示価格の1-3割増といったところのようです。
一般社団法人日本民事紛争等和解仲介機構(JACMO)
契約書ひな形がダウンロードできます。
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