寒くなってくると発生する「結露」。結露が発生する仕組みを理解して、結露対策を考えます。残念な結露対策も。
目次
なぜ結露が起きるのか?
結露が発生する理由
結露は湿気を含んだ温かい空気が、冷たいものに触れて温度が冷えることで、空気中に水分を含むことができなくなり、水滴になることで発生します。
温かい空気は多くの水分を含むことができるのですが、冷たい空気はちょっとしか水分を含むことができません。温かい空気が冷やされてしまうと、空気中に含むことができなくなった水分が水滴となって現れます。この水滴が結露です。
例えば、冬の家の中は25度、外気温5度の家を想像してください。
家の中の温度25度、湿度50%だとすると、この空気には一立方平方メートルあたり12.8グラムの水が含まれています。
ところが、この空気が窓のところに行って5度に冷やされると、5度の空気は水を6.8グラム迄しか空気の中にためることができません。
もともと空気の中には12.8グラムの水分があったんですが、5度の空気は6.8グラムしか空気の中にためきれないんです。
で、残りの貯め切れなくなった分の6グラムはどうなるかというと、水滴になって空気から押し出されてきます。
温かいところにあった水を吸った大きなスポンジが、冷えて小さくなって水が出てくるイメージ、といったら伝わりますでしょうか?
もともと空気中にあったけど、空気が冷えて押し出されてきた水分、そう、これが結露の正体です。
なぜ窓やサッシに結露が発生するのか?
窓とサッシに結露がたくさん発生するのは、住宅では窓とサッシが断熱性が低いから。
つまり、外の寒さによって窓やサッシは冷やされやすく、冷たくなった窓やサッシによって室内の温かい空気が冷やされてしまうからです。
結露はなぜ悪いのか?
結露をそのまま放置しておくと、カビやダニが発生したり、シミや腐食が発生します。
カビやダニはアレルギーの原因にもなります。
結露の発生は防ぐようにしましょう。
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しかし、裏面は、、、、
窓の結露のせいで、お気に入りのハニカムシェードにカビが大量発生。。。
許せん、結露。。
結露を防ぐには?
結露を防ぐには、①空気が冷えないようにする、②空気中の水分量を下げるか、二つの方法しかありません。
では、次に具体的な結露対策を見ていきましょう。
結露対策
結露対策の基本は空気を冷やさないことです。
結露が発生した後に結露取りやタオルや雑巾でふき取ることもできますが、これは対処療法どまり。窓を一生懸命ふいてもふいても、次から次に結露が発生するので根本的な解決にはなりません。
家の中から冷たくなるものをなくして空気を冷やさないようにすれば結露は発生しない、このことを頭に入れておく必要があります。
日本の窓問題
空気を冷やさないようするには、断熱性を高くして外の寒さが入ってこないようにすることが重要で、これが基本的な結露対策になります。
ところが、日本の家の窓とサッシは、驚くほど性能が低く、海外では欠陥住宅レベルともいわれるほどです。
理由は、ガラスとサッシの性能の低さにあります。日本の家の窓は枚数がすくなく、サッシがアルミであることに結露の原因があります。
ガラスの枚数は日本の家でも一枚のものから2枚の複層ガラスが増えてきましたが、サッシがアルミのものがほとんどです。
サッシについていえば、残念ながら、実は金属は熱伝導性が他の物質よりもはるかに高いのですが、中でも、アルミは熱をものすごく通しやすい性質を持っています。
つまりアルミサッシの窓は、窓は閉まっていたとしても熱は自由に行き来できる状態になっていて、熱という観点からはしっかりしまっていない状態になっているのです。
どういうことかというと、アルミサッシの窓は、窓を閉めたつもりになっていても、完全に閉めていないのと一緒ということです。
冬の窓際が寒いのも、結露で窓にびっしり水滴がつくのも、すべてこの性能の低い窓が理由です。
世界的に見てもアルミサッシを使う国は少数になってきていて、多くの国では熱を通しにくい樹脂や木製のサッシが使われています。
海外では結露ができる家は欠陥住宅とされるそうですが、日本の家は欠陥住宅ばかりですね。。
そこで、最近ではハウスメーカーは断熱性に気を遣うようになってきて、断熱性のトップメーカーの一条工務店では、窓は3重窓、サッシは樹脂サッシを標準仕様にしています。
お勧めしない結露対策
インターネットでは様々な方法が結露対策として紹介されていますが、本当に実感できる効果があるのか疑わしいものもたくさんあります。
私は、お勧めしないザンネンな結露対策です。
結露対策と残念だと思う理由を説明します。
プチプチを張る
プチプチを断熱材として使用する方法です。
効果はないとはいいませんが、サッシも覆わないとサッシ部分から結露が発生します。
見た目もよくありません。
ほとんど使わない部屋であれば、まぁいいかもしれません。
ひたすらふき取る
結露が発生するとほおっておくといいことが無いので、ひたすらふき取る方法です。
文字通り、対処療法で根本的な解決策ではありません。
毎日ふき取るのは結構な手間なのとしっかりやらないとカビの発生を押させられないので、これも正直お勧めしません。
カーテンを閉める
カーテンの窓側に入った空気が冷えるので、結局結露は発生してしまいます。
「カーテン」+「断熱効果に優れたハニカムシェード」の組み合わせでしたが、ハニカムシェードが結露でカビてしまいました。(涙)
結露防止スプレー
結露防止スプレーの原理は親水作用をった成分(界面活性剤、アルコール)によって水の表面張力をなくし、水分が大きな水滴にならずに薄い膜で流れるようにするものです。
但し、永続的な結露防止という観点から見た場合、効果は限りなくゼロです。
窓に塗った界面活性剤は水に流されてしまうからです。効果はあくまでごくごく限られた一時的なものです。
そもそも、結露は空気が冷やされることで発生します。スプレーを使ったからと言って断熱性が向上するわけでも、窓の温度が上がるわけでもありません。
中には断熱性向上をうたう商品もありますが、インチキです。
薄い膜が、結露をなくすほどの断熱性があるわけないでしょう?
いい加減なことを言って商売をするのはやめてほしいし、断熱効果があるとして紹介するネット記事にもうんざりです。
そんなに高いものでもないですが、嘘くさい結露防止スプレーにお金を払うぐらいなら、何もしない方がマシだと思います。
部屋の温度を下げる
結露対策で必ず言われるのが、窓を開けて換気しましょう、ということ。
確かに部屋の温度を下げると結露は発生しなくなります。
温度差、湿度の差がなくないところには、結露は発生しないので、外の温度と一緒になれば確かに結露は発生しません。
でも、それって、単純に、寒くないですが?
ワザワザ、暖房器具を使って、温かくした空気を外に捨ててしまうのはモッタイナイのでは?
結露を防ぐために、室内の温度を寒くする、というのは、確かに結露はなくなるけど、それでいいの??と思います。
お勧めの結露対策
お勧めの結露対策です。
これであなたの家の窓の結露とは永遠におさらばできます。
結露対策① 窓とサッシをかえる。
窓とサッシに結露が発生している場合、結露の原因は窓とサッシの断熱性の低さ、わかりやすく言えば性能の低さです。これを根本的に解決するには、窓とサッシを断熱性がよい、新しいものに変えることです。
窓の結露の原因は窓の断熱性の低さであることが、多くの人が知るようになり、メーカーも断熱性の高い窓を作り始めるようになった結果、結露対策のリフォームは人気が出ています。
窓のリフォームは、二重窓でも大分効果はありますし、三重窓であれば結露が発生する可能性は大分少なくなります。窓ガラスの間の空気が断熱材の効果を果たすので、断熱性が高まるためです。
また、忘れてはいけないのが、サッシ。アルミサッシは室内の熱がダダ漏れで、外の寒さがガンガン家の中に入ってくるので結露の原因になります。
これから窓を変えるのであればアルミサッシは絶対にやめましょう。
アルミは熱の通しやすさが樹脂の1000倍です。アルミのサッシというのは断熱性のことを全く考えず結露だらけだった昭和時代の遺物です。
令和時代の家は、熱の通しにくい樹脂サッシ、せめてアルミと樹脂の両方が使われているハイブリットタイプを選ぶようにしましょう。
窓やサッシの断熱性については、Ua値という数値で比較できるようになっています。
各メーカーごとに断熱性を力を入れていますので、リフォームをするときはUa値を気にするようにしてください。
断熱性の高い窓・サッシ ランキング 一条工務店採用モデルは?
結露対策③ 内窓をつける
窓とサッシをかえるのは、交換だけで済めばいいのですが、外壁の一部をはがす必要が出てくる場合には、大規模な工事になってしまうこともあります。
そこで、既存の窓とサッシの内側に内窓を付けるリフォームも人気です。
断熱性が向上するほかに、音が静かになる、というメリットもあります。
結露対策③ 窓を温める
窓とサッシをかえるのが結露防止に一番いいのですが、いろいろな理由で窓やサッシが変えられない、内窓も付けられない場合もあると思います。
窓やサッシをかえなくても、窓下にヒーターを置くことで結露を防止することができます。
結露の発生する仕組みを思い出してください。
結露は温かい空気が冷たくなることで発生しましたね。
窓で結露が発生するのは、断熱性の低い窓ガラスやサッシが外気の影響を受けて冷たくなるからでした。
室内の空気が窓にいっても冷たくならなければ、結露は発生しなくなるんです。
なので、窓ガラスとサッシのリフォームをしましょうとなるわけですが、リフォームが難しいときは、性能の低い窓とサッシが外から冷気をもってきてしまうのを、ヒーターで温め返してあげれば、結露は発生しなくなります。
窓下にヒーターを置くのは、窓とサッシを交換することと比べると初期費用は安くすることができます。但し、電気代がかさむため、10年単位でみると結局高くついてしまいます。
これから家を建てる、あるいはリフォームの計画がある人は樹脂サッシの窓に交換してください。
とはいえ、予算がない、賃貸住宅に住んでいる、といったご事情は人によりさまざまでしょうから、窓とサッシが交換できない場合はこちらをお勧めします。
海外の家でも、窓下から温かい空気が出るようになっていたり、ヒーターがおかれていたりします。
こうすることで家じゅうの気温の差が少なくなり、結露も起きにくくなるための工夫です。
ファンヒーターを窓に向けてつけるのでも効果はありますし、ウィンドウラジエーターとよばれる窓下専用のヒーターもあります。
これで結露の発生がかなり抑えられて、しかも、住環境がだいぶ改善すると思います。
実際に窓下ヒーターを設置してみたので、別記事に書こうと思います。
まとめ 窓の結露
窓の結露は性能の低い、窓ガラスとサッシによって起こります。
窓の結露の防止は断熱性を高くすることが一番。
啓蒙活動を続けられる松尾先生のような人たちのおかげで、最近では、多くの人が、窓とサッシの大切さに気付くようになってきて、メーカーはようやく性能の高い窓やサッシを作るようになってきました。
でも、まだ性能の低い窓やサッシは作られ続けているのが現状です。
健康に良くなく、省エネルギーでもない窓とサッシを放置していた国と、製造を続けているメーカーはこの状況を放置していていいのでしょうか?
というのも、一度作ってしまったものは数十年は使われるものですし、それを途中で切り替えるのは経済的ではありません。
多くの人にとって家づくりはそんなにない機会です。家づくりをするすべての人が、家を作るときにイチイチ、窓やサッシとか細かいところまで勉強しなければならないというのも、変な話です。
また、賃貸住宅を借りる人にとってはサッシと窓で家を選ぶことは現実的ではありません。しょうがなく、結露覚悟で断熱性の低いサッシと窓の家に住まざるを得ません。そして、これを見て、大家さんも賃料に反映されるわけではないから、断熱性が低いちょっと安い窓とサッシでいいか、と考えてしまうでしょう。悪循環です。
この状況を解決するにはどうしたらよいでしょうか?
私は国の規制を強め一般住居用の窓には低性能の窓は禁止するしかないと思います。
つまり、衣食住の住という、人々の暮らしの最も基本的な要素である住まいを良くし、住む人にとって快適で健康な、そして省エネルギーになって国全体でメリットがあるような制度となるように規制をかけてほしいと思います。
メーカーも規制に促されるのではなく、自主的に気概を持って性能の低い製品の販売を取りやめてほしいと思います。
白熱灯の製造がなくなったことを覚えていますか?
同じように家庭向けのアルミサッシの製造もなくすことはできるはずです。
窓の結露の問題が「昔の家ではね、結露というのがあって、窓についた水をふき取ってたんだよ。カビがついちゃうからね。」というような昔話になるのも時間の問題だとは思います。
が、いち早く、窓の結露が、遠い昔のこととなるように、国とメーカーには、早く対応をとってもらいたいと思います。
断熱性が高いハウスメーカーランキング
性能の向上で令和の新築住宅は激しい結露が発生する住宅は少なくなりました。
とはいえ、新築住宅のすべてが、結露が発生しない住宅というわけではありません。
ハウスメーカー各社は断熱性・気密性の高さをアピールしていますが、はっきり言って断熱性が高くないハウスメーカーもあるので注意が必要です。
窓の断熱性能ランキング
消費者の知識の高まりで、日本の窓の断熱性がものすごく低いことが多くの人に知られた結果、メーカーも断熱性の高い製品をようやく開発・販売するようになってきました。